定着
あふれる『気』の調整するように、つながった手をひきよせて片腕で囲い込む。
むこうから来た茶屋の女たちが、トクさん今日もおさかんだね、とからかって過ぎる。
赤い顔で小さくなったシュンカには悪いが、あたりめーよ、と胸にある柔い髪をなでる。
笑うと普段の何倍もあふれ出すきれいな『気』は、まだシュンカも自分で調整できないので、手っ取り早くトクジが囲ってふさぐのだ。
これがまわりには、トクジがすぐにシュンカを触るようにしか目にうつらない。
おかげでこのごろは、男衆の中でもすっかり、シュンカはトクジの『色』だということで定着している。
トクジは面倒なので訂正をいれなかった。
シュンカは困ったような顔をしたが、おランの「おもしろいからそれでいいじゃあないか」というひとことで、そのままだ。
きっと、スザクが帰ってきたときの顔を楽しみにしているのだろうが、それまでには、自分の身のために、訂正をいれるか、とトクジは考えている。
――― しっかし・・・どうしたもんか・・




