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芸がねえ化け方
申し訳ございません。《テング》については、『鬼哭』をひろい読みしてください。。。
女は、あわてて膝をつく男たちを満足そうにみまわし、最後に椅子に座ったままの男に目をとめ、にやにやとわらいながらあゆみよった。
「 ―― 死にぞこないのクソガキが、変わらずにつれないのは、我慢してやるか。 ―― のお、スザク、あの、『子ども』は、どうしておる? そろそろ、われに差し出しても、よかろうが?」
にんまりと舌なめずりでもしそうな女へ、鼻をならした男がうんざりと言う。
「てめえの化けかたは『はね』いがい、元の形と変わってねえじゃねえか。 そのへんの妖物のほうが、よっぽど姿を変えられるぜ。 テングってのは、芸がねえなあ」
ドウアンが、スザク!と、とがめるよりも先に、女が指で弾いてとばしたものが、スザクの額に、めり込んだ。




