はかりごと
―― その四 やりすぎの女 ――
白湯を飲み干したスザクは、コウアンの手に白い膏薬がぬられていくのをながめ、たまには茶が飲みてえな、と口にだした。
「茶なら、言えば世話人がだそう。 おまえは、いちおうは客人扱いなのだからな」
ドウアンがこたえるのに、「いやそうじゃなくって――、」とスザクは自分の言葉に疑問を持った。
飲むのは白湯でもなんでもいいのだ。
そうではなく、『伍の宮で飲む茶』を、飲みたいなと思っただけで・・・。
そこまで考えたとき、コウアンが「ほお」と驚いた声をあげ、どうやらトクジが言ってたことは、ほんとのようだとドウアンへにやけてみせた。
「そんなこと、この男を一目見ただけでわかったわ。 ―― それよりも、ギョウトクだ」
ミツ房で捕まえたギョウトクの従者である小僧をしめあげれば、ギョウトクとはだいぶ前から禁を破った間柄となっており、からだをまじあわせるたびに、今度の偽の《タイガンコウ》にむけての『はかりごと』を、耳打ちされていたという。
ザイアンは、ちかぢか軒下のミノムシになるかもな




