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それに 気づく
もちろん、過保護な大臣どもが、いくつもの《守りの札》や《術》をかけてよこす。
セイテツなどは、初めの何度かはついてきた。
トクジがあきれた顔をすれば、スザクが高山に行ってしまい、シュンカが心細いだろうと思ってな、などと言う。
心細いのはお前なのだろう、といえば、むっつり黙って髪をかきまわした。
気をきかせたシュンカが、まだ頼りない自分のせいなのです、とセイテツをかばい、次からは一人でこられるようにがんばります、とトクジに宣言した。
それで、セイテツもあきらめて、ついてこなくはなったが、トクジが天宮に呼ばれることが多くなってしまった。
シュンカが帰り際に、コウセンさまがトクジさまと飲みたいとおっしゃっています、とか、セイテツさまが淋しいとおっしゃって、などと、どう考えても、大人がこじつけた理由を、申し訳なさそうに口にするシュンカに同情して、何度かそんな誘いにのっているうちに、
―― それに、気づいた。




