本物の坊主
「 おれは、あの三人とは仲良くはできなかったが、・・・嫌いじゃなかったぜ」
『徳』を返しにいったとき、ジュフクよりも先に引き留めようとしてくれたのが、あの三人だった。
「 ・・・くそじじいが見込んだだけあって、ありゃぁ本物の『坊主』だ。 どっかの生臭たちと違ってよ、あんなとこで遊ぶようなことは、―― ねえ」
「 ふん。 ジュフク殿も、それはわかっているが、なにしろ見つかった場所が場所だからな。 あとからつくったような噂が流れ、亡くなった御坊殿は、面目もない。 そこにつけこんで、高山の『徳』を疑うようなことを、《誰かが》いいふらしているらしい。 中山に、いいかげんな修行場があって、そこでいいかげんな修行をした偽坊主どもが、高山とおなじような修行をしたのに『徳』をとれないのは、おかしなことだと、さわいでいるらしい」
そこの修行場を作ったのもギョウトクだという噂があるというのに、っち、と舌を打ったトクジが、ふざけたことを、とやり場のない文句を、庭で遊ぶ小鳥にむける。




