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つながり
「 ―― 『似てる』ってだけで、あれだけのモン、くれるってんだから・・・、本当に血のつながった相手だったらって考えたらよ、・・・あの、ショウトクの気持ちも、あるのかもしれねえってな。 おれぁ、そういう《つながり》がいねえからよ。そこで量る(はかる)しかねえけどな・・・・・」
血をわけた者はどこにもいないから、ショウトクのあの必死さを、本当に理解はできないが、それでも、 ―― たとえば、シュンカをなくすことを想像すると、寒気がする。
「ならトクさん、おれを弟とおもっていいぞ」
「いらねえよ」
「そうか、スザク殿が弟か?」
「あんなでっけえの、もっといらねえ」
笑って酒を酌み交わす。
当たり前のようにコウドが言う。
「まあ、トクさんは、ここにいる男衆、みんなの兄だからな」
「・・・・・」
トクジは酒をすすり、こたえるのを濁す。
いらねえよ、とは、口にしない。




