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とめた
ばちん、と激しい音がして、あたりにまばゆい光がひろがり、黒いうねりがのみこまれた。
まぶしいばかりの《光》は、何かの切れ目のように輝いて、そこから、ほそくしなやかな女の腕がのぞくと、シュンカの頭をなで、空から何かをひきよせるようなしぐさをみせると、《経》を綴るように、細い指先が動いた。
すると ―― 、大きな光がそこではじけたかのようにあふれかえり、目をひらいていられないほどで、 その場のすべての動きをとめた。
ああ ああ
ひどくせつない息のような声のようなものが耳をうち、ゆっくりと目をひらく。
土蛙も消えて、景色はもどり、辻の真ん中に、赤黒い血染めの着物をぼろのようにまとったショウトクが、おのれの両の手で、なにかをすくうようにして立っている。




