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やめておけ
ショウトクの立つ蛙の背が、ぬらぬらと毒液で照りかえっている。
あいつよく平気だな、と赤くなった肌をきにするセイテツの言葉の途中で、またしてもその背から毒が噴出され、今度は雨のように降り続く。
だが、ひとりだけ、痛みを感じないかのように、ひどく迷惑そうな顔をしている男が言った。
「おい、もういいかげんやめておけ」
スザクはさきほどから刀の柄をにぎったままだが、抜こうとはしない。
「 どうした? スザク殿、なぜ刀を抜かない? おれと術で戦いたいのか?」
挑発するように経をつづり、ショウトクはわらう。
「 ―― さっきからよ、」
スザクは顔を振ってから、空をつかむしぐさをした。




