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土蛙の毒
「 蟲の良いところはな、いうことをきかすのもたやすいし、人とちがって『嘘』をついて裏切らぬところよ。 ―― さ あシュンカ、おまえには、人を癒す力があるのだろう? 死人さえも生き返らせるのだろう? ならば、その力を『人』のためにつかえ! 『仏性権化』もおなじような力があるというが、それを『人』につかう気などはないらしいからな! 」
とばされた経が、トクジとシュンカを狙い、一帯がはげしくはじけた。
続けて、空からなにか水が降ってきて、よけそこなったセイテツは、その痛みに悲鳴をあげた。
「あっちいい!!なんだ!?」
ねばついたそれがかかった肌が、しゅっとけむをあげ、真っ赤になる。
「 土蛙の毒だ。 ―― 西の軍では、あれを養殖してた」
コウドが、赤くなったおのれの腕をふって蛙をみあげる。




