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土蛙
ぱんっ!
合わせたショウトクの手がとばした《印》は、スザクの《印》とぶつかってくだける。
セイテツがとばした薄氷がとぶが、ショウトクの周りで散った。
「まあ、でも、こっちのほうが大勢だからなあ」
のんきなセイテツの言葉がおわらないうちに、足元が揺れ地が立ちあがった。
「!!また蟲か?」
とびすさってみあげれば、立って割れた土の中から、ぬらりとした平たいものがあらわれた。
「げっ! 土蛙か?!」
ミカドが水盆でつかわす蛙とはちがい、土の中に棲み、ときたま水辺にでる大きな茶色い蛙が化け物の大きさになっている。
でこぼことした背に、《ショウトク》が《経》を綴りながら立っていた。




