172/193
大堀の騒ぎ
申し訳ございません。《大堀》にかんしては、『みつる 』をひろい読みしてみてください。。。
「 ―― ほお、シュンカの相手は御坊か?」
もどった辻には、トクジよりも大柄な男が、赤黒い血染めの着物に懐手で立ち、なるほどたしかに頬に傷跡がある、とうすくわらった。
「てめえか。 《大堀》に、おかしな《術》かけやがったのは」
「『おおぼり』? ああ、あの、よどみのひどい、どぶ沼か? 女たちの『念』がたまりすぎておったんでなあ。 ちょうど、おもしろい拾い物をしたついでに、それをまいてみたんだわ。 餌とおもうた魚が、うまいぐあいに《術》ごと、それを飲み込んで、おもしろい騒ぎになったわ」
「おもしろくもねえが、たいそういろんな術を会得してるんだな」
かちかちと鳴りだす刀を落ち着かせるように撫でて言う。
「 そのために、高山には世話になったからな。最後にも、礼をこめて挨拶してきたわ。 ―― ああ、残念ながら、スザク殿には会えなかったがなあ」




