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似てるから
「 だって!ひとりで、いかないでっ!!」
ばちん!とまたしても弾かれたシュンカの手を、トクジが囲いへ手をいれて、ぎゅうとつかむ。
「 ―― だいじょぶさ。 シュンカ、おれは、 ―― おめえの親父さんとちがって、臆病だからよ。 だめだってなったら、さっさと逃げる」
「 ――― あ 」
何かを言おうとしたのに、微笑んだ男の顔をみていると、何も出てこなかった。
ゆっくりと手は離され、トクジは白い光の中へのまれて消えた。
コウドがやさしくシュンカの肩をひきよせてつぶやいた。
「 ―― おれも、はじめて会ったときに思ったよ。 トクさんは、リョウゲツ殿とどこか似てるって。 ―― 大丈夫。 絶対にだいじょうぶだ 」




