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力の差
「 どうやらその容姿で、ほかの《坊主》を引き入れたというのは、本当のようだな? それとも、引き込まれたか? 楽しんでいるのなら、この愚僧も、いつかお相手いただきたいっ」
にやけた顔で素早く綴った《経》が、投げられた。
《札》をつかわず操れるその力は、手習い中のシュンカの《術》とは、くらべものにもならない。
続けて、足元をとばされて転がりふせれば、あっという間にまた糸にとらわれる。
転がされながら、足元から巻き付いた『糸』に、巻き込まれひきよせられて、ギョウトクの腕に捕まった。
「 ―― ほお。 これはまた、みたこともない、美しい目玉だな」
両の手首を軽く片手でつかみあげて《ギョウトク》はシュンカの顔をのぞきこむ。




