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ご存じか?
「 これは驚いた。 すこしは《経》がつかえるのをしっていたが、どうやらまた覚えたようだ。スザクがいない間、 ―― 誰に教わったんだ? シュンカ」
おもしろそうに見下ろす男の顔に、シュンカは覚えはない。
なぜこちらの名を知っているのかと思う前に、おれもこう見えて坊主でな、ともろ肌をぬいだ男がわらった。
もしかして、・・・ギョウトク?
セイテツが怒りをこめて口にするのを、何度か耳にしたことはある。
「愚僧の名をご存じか?」
茶化すような言葉づかい。
睨み返せばゆったりと微笑む。




