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めざしてくる
おつきあいくださってる方、ありがとうございます。ようやく、あと少しです。。。
―― その十三 迎えくる ――
覚悟は決めていたから、それが近づいてくるときには、トクジが張っておいてくれた結界を内から壊して庭に出た。
ひきとめる男衆たちに、トクジと落ち合う約束をしたのだと、嘘をついてそこを後にし、シュンカは『化かし辻』をめざした。
気にした男衆が何人かついて走ってくるが、心の中で謝り、術で足をとめた。
あのムシは、おれを目指してくる
前に現れたときの気配を思い起こす。
どうにも、ねばりまとわりつくようなものが自分をさがしているのを感じ、肌が泡立った。
だがそれは、あのムシがだした『声』とは、ずいぶんと気配がちがうのだ。




