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※※ ― 声は届くか ―
その間にも、ショウトクの後ろの《影》は、黒く大きくなってゆき、ギョウトクの体の痛みは、激しくなった。
あるとき、いつもとはちがう《光》をまとうシュンカを見た。
それは、あの、まばゆい光の大きな男ではなく、暖かくつよい光をはなつ、顔に、傷のある男といっしょのときだった。
そのとき、シュンカの光がゆれた。
いまじゃ 兄や
とたんに、《黒い》ショウトクの意識にのまれ、―― あとはよく、覚えていない。
一度だけ、シュンカの近くに行けたと思い、『誘った』けれど、
―― きっと、声は届かなかっただろう。
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