満たしたあいて
申し訳ございません。
《大堀》の騒動については『みつる 』を、ひろい読みしてください。。。
みんながかわいがる素直で正直でまっすぐな子どもは、人として『心のかけて』いたスザクの《中》をも満たし、あの男が《妖刀》を、あつかえるほどにしてしまった。
色街の《大堀》での騒ぎにかけつけたトクジは、ためしに自分の《刀》を坊主に投げた。
数年前まで『人』としてできあがっていなかったスザクには、扱えなかった代物だ。
受け取った坊主はさっさと《刀》にいうことをきかせると、《経》までのせて使ってみせた。
あの仏頂面の男を変えさせた相手をよく見てやろうと、スザクをどけてそのこどもの腕に負った傷を洗ってやれば、微笑んで礼を言われ、《あふれでたもの》に肌が泡立った。
とんでもねえ『気』の量
スザクが舌を打つとこちらをおしのけて手をのばし、シュンカの頭をぽんと叩いた。
これでも蓋をしてるのかと問えば、うるさそうに手を振り、文句があるかとにらんできた。
けっきょく、その日は傷の手当てをし、どぶ水につかった着物を取り換えてやると、いらだったようなスザクがせかして、二人そろって帰ってしまったのだが、数日後、 ―― 貸してやった着物を、きれいに洗ってととのえたシュンカが、ひとりでやってきた。




