※※ ― 痛みをとめる ―
坊主になったショウトクは、ギョウトクが《ムシ》であそぶのを手伝ってくれたが、近頃では、ギョウトクの意識は途切れがちで、遊び相手をさがす前に、手伝ってくれるショウトクの意識に、『のまれて』しまうことが多い。
そんなときは、体中が痛くて目がさめる。
だけど、やさしいショウトクには言いたくない。
言うと、とっても悲しい目でギョウトクをみて、おれがなおしてやる、と口にする。
そのとき、ショウトクの後ろには、みたこともない《恐ろしいモノ》たちの影がうごめき、ショウトクを、頭から喰おうとするのだ。
あの、シュンカという子どもを、ようやく見つけたとショウトクが知らせにきたときには、今までで、一番大きく恐ろしい、角をいくつも生やした《モノ》が、ショウトクの後ろにいた。
ギョウトクは恐ろしかったが、シュンカを手に入れるといったショウトクの言葉に、うなずいた。
なぜなら、ギョウトクも、あの、《痛み》をとめることのできる子どもが、必要だと思ったからだ。
―― そう、痛みを、とめるために。




