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いそぐぞ
坊主が不機嫌に聞く。
「 おめえが言った、その『ムシ』ってのは、 ―― もしかして、《しゃべるムシ》か?」
「あれ?なんで知ってんだ?」
あの出来事は、スザクが高山に行ってからではないかと、首をひねる。
「おれは、ギョウトクの《匂い》をたどって、ここまできたが、どうやら、謀られたみてえだ。―― それで、 ―― なんで、トクがシュンカについてる?」
「えっと、それは、―― ・・・」
みあった男の目がきびしい。
「テツ、いそぐぞ。 走りながら聞く」
めずらしく、焦ったように走りだした男のあとを、いそいで追った。




