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そうか、そうか
「・・・嘘をつくな。 《ギョウトク》は、おまんのような大きさじゃない」
「 ―― 女、なんで知ってる?」
「 ばあさまにきいた。 ―― あんた、・・・・・ショウトクなんじゃないか?」
すると、男が大きな声で笑い、そうかそうか、と息をつき、しばしの間のあと、こう切り出した。
「 ―― 女、『ギョウトク』の世話をしてくれぬか? 口の堅いのが、なかなかみつからなくてなあ」
そうして連れてこられたのは、背丈の高い草がさわぐ中にある小屋だった。
「 ―― あんた、《ギョウトク》のこと、 いや、坊主のほうだが、・・・あの男が、こわくはないのか?」
コウドの問いに微笑んだ女は、こわいです、としずかに微笑む。
「ときどき、血みたいな嫌な匂いをさせたまま来るし、気配が、人じゃないように感じる時もあるし・・・」




