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芯の強さ
シュンカは、トクジがよく知っている、スザクという坊主の『従者』だ。
高山で坊主の徳をとったスザクには、まだ十五にして凡人とは異なる『力』とそれを操れるだけの『精神力』があった。
スザクの記憶力と吸収力は、並みではなかった、とだれもが言うが、それは生い立ちが深く関係しているのだとトクジは思う。
生きるために必要なことならば、やるしかないのだ。
トクジにも、恵まれた『力』はあったのだが、なにぶんにも『精神力』が弱かった。
坊主は、妖物につけいられるような精神をもっていては、務まらない。
シュンカはどうだ?
だいたいの生い立ちは、伍の宮でスザクとシュンカと共に暮らすセイテツから聞いて知っている。
己の持つ『力』のせいで、なんともやるせないことが起こり、縁あって天宮に住まうことになったのだ。
みかけは女のようだが、芯は並みの男よりも強い。
同じ宮にすむセイテツから子どもの話をきいたときにそう思った。




