計画
「 夜のうちに移そうかと思ったんだが、それじゃあ、逆に人目をひくって、ばあさまが言うからよ、明日の陽がのぼってから、でることにしたからな」
ショウトクが計画をつげにゆくと、ギョウトクは箱をゆらし、こう言った。
そと でるか? ムシ とんでるか?
「・・ああ。たっくさんおる。 でも、あの『遊び』は、するなよ」
ばあさまが、神官の神事の手伝いに呼ばれたことにして、蔵からいくつかの器が入った大きな箱と、ギョウトクの入った箱を荷車にのせて持ち出すのだ。
「 あのな、ここの壊れたのじゃなく、つかえる荷車を、今日の仕事のかえりに、先生にかりてくるからな。 いいか、おれが戻ってくるまで、おとなしくしておけよ」
ギョウトクは興奮しているらしく、箱をゆらす。
のぞきこめば、笑っていた。
こぼれたよだれをふいてやり、ショウトクはもう一度、これからは動くなよ、と念をおした。
外はさわやかな空気で、空は青く、明日もきっとこんな天気だろうと、そばをとぶチョウチョウを見た。
この景色を、兄やにみせてやれるのだ。




