相談
ショウトクは落ちた娘の息を確認し、医者の手伝いでおぼえた処置をほどこしてから、ばあさまのところに行った。
驚いたばあさまはよたよたと立ち上がり、娘のところへつれてゆけと命じ、様子をみてからこういった。
「 骨ば折れてるようだし、頭も打っちょるだろ。 きっとすぐにはしゃべれねえ」
とにかく、二人で娘に蔵を案内していたら落ちてしまったことにしようと、娘の家に事の次第をつたえにショウトクは走り、娘はかつがれて家に戻った。
ショウトクが手伝っている医者をよびにゆきみてもらえば、だされたのは、ばあさまと似たような見立てで、施されたショウトクの処置をほめ、意識が戻ったらまた呼ぶように、と帰っていった。
これでショウトクは、娘の親に感謝されども、怒られたり疑われることは何もなかった。
帰ってきた両親も、こっちが災難だったというようなもので、何の疑いももたない。
ばあさまとショウトクは額を寄せ合い相談し、娘がしゃべれるようになる前に、ギョウトクを、知り合いの神官が持っている山の近くの、小屋へ移そうと決めた。




