120/193
兄(にい)や
いやがってあばれる体を、力のあるばあさまに持ち上げられ、あの場所にもどされて、頬を叩かれた。
「さわぐなっ!! いいか、あれはな、おまんの兄やだ!!」
「 ―― ・・・にい・・や?」
「 おまんのうまれる四年前に、この世に生まれ落ちたのよ。 わっしがとりあげた。 ・・・だがのお、・・・あの子をみた、おまんの母さまは、気が狂ったように泣き出してな、 あの子を、 ―― 『捨ててくれ』とあばれた・・・。 父さまも同じじゃ。 わっしが、いくら、この子は生きておるというても、耳を貸さん。 《こんな子》が、うまれたとわかったら、自分らが、なんといわれるか、わからんと言うんじゃ ―― 」
なさけなくって涙がでたわ、とばあさまは、本当に涙をながした。




