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歓迎
「 トクさーん、 シュンちゃんがきたよー 」
台所から、飯炊き女の嬉しげな声がひびき、瓜を食べていた男たちが、一斉に歓迎する声を耳にする。
あれじゃあどうせ、みなにすすめられて瓜を食うことになるだろう。
まわりの薪をひろって積み上げ、行水している男たちに置き水をわけてもらい頭からかぶる。
手拭いで簡単にふきあげて台所の様子をみれば、やはりシュンカは瓜を食わされているところだった。
台所の入り口には、客のひけた女たちが、ひとめシュンカを見ようと、首をのばしているのも見える。
――― おーおー。 飯炊き女から、商売女まで味方につけるか
あんなに、外見も中身もきれいな子はいやしないよ、と口の悪いおランまでがほめるほどだ。
たしかにそれもある。
だが、トクジがはじめてシュンカをみたときに感じたのは、もっと違う種類の驚きだった。




