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まだ広そう
ところが、食べ物をおいてありそうな場所など、よく考えればここにはない。
今まで、さんざんうろついて、棚をかたはしから探っていたので、わかっている。
しばらく考えたショウトクは、蔵の外へ出て、もう一度中へ入った。
梯子をのぼった二階は、外からみると、まだ、《広そう》だ。
そう思ったので、二階へ行って、その空間を調べまわった。
莚が敷かれて、樽や桶がおかれるそこには、書物はほとんどないのであまりこない。
奥にいくほど箱が積みあがり、中に入った膳や皿や杯などは、年に一度、出すか出さぬかのものばかりだった。
一番奥の壁には、こわれた荷車がたてかけられている。
さすがにこれは動かせぬと思ってそっとさわると、荷をのせる部分の板ががたんとはずれて、その奥に、暗い穴があった。




