ショウトク
――― ※※※ ―――
―― ギョウトクとショウトク ――
ショウトクは里の中でも一番体が大きく、一番頭が良いと評判の子どもだった。
ばあさまは産婆をしており、父さんはその『力』を継がなかったので、母さんと畑仕事をしていた。
一家は昔から『力』のある者がたびたび生まれる血筋だったもので、里の中でも広い土地と家を持つ《長》のような役目をしていた。
ショウトクは頭もよく、どうやら『力』もあるようだと、生まれたときに《祝福》してくれた神官にいわれたこともあり、両親はショウトクに畑仕事は手伝わせずに、ばあさまにつかせて読み書きを覚えさせ、ほかの子どもと遊ばせることもしなかった。
おとなしくて扱いやすい子どもだったので、ばあさまも、自分の仕事や用があるときは、ショウトクを家に一人で残しておいた。
残された子どもは、許された範囲内で好奇心を満たすために、家にある書物を片端から探してよみあさり、家の裏手にある『蔵』にも、よく出入りした。




