わたしの目
「これで、しまいだ・・・」
トクジとながめていた男たちは、そうつぶやいて、顔を隠すように帰っていった。
一人だけ残ったトクジが、もういいんじゃねえか、と声をかけると、小屋の残りをまだ燃やしている火の中から、黒い影がゆっくりと現れる。
「 ―― トクさんの《術札》は、すごいな」
あの炎の中で熱くも苦しくもなかったと、右腕に抱えた女をトクジに渡し、左肩にのせていた箱をゆっくりとおろした。
女は苦しそうだが意識はしっかりしており、コウドに礼を言うと止める間もなく、すぐに『箱』へとしがみついた。
「あっつ!!」
「ああ。だいぶ、黒く焦げてる。 わりいな。・・・まにあわなくて」
コウドの言葉に首をふると、もう一度ゆっくりと箱をさわり、ふたを探した。
「・・・おい、あんた、もしかして・・」
トクジの言葉に顔をあげた女の眼は、両目とも、 ―― 白くにごっている。
「 わたしの目が見えていたら、 もっと早くに、助けてあげられたのに ――― 」
悔し涙を流す女は、箱のふたを探し当て、それをゆっくりとひらいた。




