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いやな《肌触り》
暑いのが苦手なのは昔からだが、今年の暑さは、なんだかいつもと違う《肌触り》がするのだ。
―――― いやな感じだなあ、おい
か、っつ、と割れた木がとぶ。
―――― こりゃあれだ。おれがあいつらに北の山に連れて行かれたときと、・・
次の木を丸太の上におく。
―――― どっかの里が、丸焼けになったとかいうあのころと・・
迷いもなくおろしたナタが、一発で木を分割する。
―――― あと・・何年前だ?夜に、おかしな鳴き声がしてたとき
たしか、あの時も、こんなざわついた感じが肌にまとわりついていた。
考えながら刃をおろそうとしたとき、その気配を感じて眉間のしわが消え去った。




