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おとぎばなし ― 蟲 共に 還りし あの ―  作者: ぽすしち
箱は焼けた

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105/193

『おれが させぬ』




  ―― その十 箱は焼けた ――





「 おれはとにかく、ほんとうに、ムシを潰していこうかと思ってる 」



 言い切ったコウドは握り飯をかじりながら、飛んできた羽虫をあいた手でつかみ取って捨てた。



「・・・あほか。 それよりものヤマメが話をしてた相手をみつけねえと。 ―― そいつが、おれたちの先回りをして、ヤマメを蟲に喰い殺させて、あのでかいムシを辻に送り込んだんだ。 次にくるでかいムシが、一匹とはかぎらねえ。 シュンカが連れ去られる」



「そうはさせるか!このおれがさせぬ!」


 米粒をとばしコウドが腰かけていた大岩に立ち上がって誓う。


 トクジもそこに腰をかけ、見渡す限り、茂りゆれる、ススキを眺めた。




 たしかに、気はあせっていた。


 『離れ』から戻って、トクジはシュンカを一度天宮に返そうと思ったのだが、思った通り本人がそれを嫌がった。


 次にムシがでたときには、自分も退治を手伝いたいと申し出たのだ。

 ただでさえ、《守られる》ことを良しとしない男らしい性格なうえに、このごろトクジに対し、『別なもの』を抱えているせいだろうと思い当たった男は、相手の強い視線にのせた懇願に、勝てなかった。

 



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