死肉くう蟲
残虐描写あり。ご注意を。
「 ああ、気色わりィ。 こりゃ、死肉を喰いにくる蟲だな。 だが、こんなにたくさんくっついてるのはみたこともねえなあ」と蟲の死骸をトクジへ放った。
拾ってただのムシだと確かめた男は頬の傷をかき、言った。
「 ―― せめて、死んでから喰われたんなら、まだいいがなあ・・・」
最後に男衆が声をかけたのは、今日の朝だという。
そのときは、たしかにヤマメの声で、『あたしはここがいいのさ』と、部屋から出るのを、断った。
「 ―― それからぽっくりいったとしても、おかしい。 あの蟲は、肉の腐った匂いに集まるはずだ」
女の骸を男衆とトクジたちで焼いて弔ったあとにコウドが言った。
そんなことはわかってる、とトクジは懐手で傷をかく。
ヤマメの店の主人には『血を吐く病が急にひどくなって亡くなった』と伝えることにした。
『離れ』の他の女たちにも同じ理由を告げ、あの部屋には近づかないように伝え、そこを後にしようとすると、柱の陰から、ここで養生してる一人の女が手招いた。
申し訳ございません。ひゃくこえてつづきます。。。




