1/193
※※ ― ススキ ―
方言などの設定も、すべて、ゆるふわです。 ムシがたくさんでてきます。いろいろな残酷描写多し。ご注意ください。
みわたすかぎり、一面のススキ野原だった。
風になぶられ、かさかさとゆれているそれは、
かたむいた陽に照らされ、こがね色にひかり輝く。
まぶしいような、痛いようなそれに、目元をぬぐった。
そうだ。目が、痛かっただけだ。
なのに、 心配そうな声がかかり、あわてて『箱』を、抱えなおした。
「 いまからここが、―― わっしらの、里じゃ 」
言い切った。
おのれにも、いいきかせるように。
そうだ。
ここが、二人の『里』になる。
―――――――
――― ああ そうか
ならば、また、
あの 景色のある場所に、 ふたり、戻れるだろうか?
―― ※※※ ――