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《9.妹がボロボロで帰ってきた》
これは『異世界から戻ってきた僕様のもとにまだ聖剣がある件』の直後の話です。
「た…、ただいま。にい…さん」
「アッゾ!」
妹がボロボロになって帰ってきた!
下半身の触手が千切れている!
「何が…。いや、どうすればいい!?」
「とり…あえず、なにか、たべるものを…」
「わかった!」
冷蔵庫から肉をあるだけ持ってきた。
「にいさ…、ありが、とう」
「いいから、早く!」
促すと妹は両手の触手を伸ばして肉を取り込んだ。
「足りる?」
「ええ、なん…とか」
妹の触手が再生する様子は見えない。
こうなったら!!
「俺のこと食べてもいいからっ」
アッゾが生きてくれるなら!
「わたしがにいさんのこと、たべるわけないじゃないですか」
たとえしんでも。
そう言って妹は目を閉じた。
「アッゾ!!」
「はい、なんでしょうか兄さん?」
あれ、無事?
心なしか顔色も良くなって…。
「先ほど摂取した栄養を重要な身体の核の再生に使いました。あとは自然治癒で大丈夫で…!」
いい終わる前にアッゾを抱きしめた。
「心配かけてごめんなさい、兄さん」