表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/107

第86話「覚悟」

「何だよ……コイツ」


 感電しながら気味悪く叫ぶ、ルベルト。

 俺はその狂気に少し後退りしていた。


「タクロウ様、ここは僕が倒すので、お先にどうぞ」


 爽やかな笑顔を見せ、俺に告げるソノ。


「大丈夫か? 相手はランク、ハートだぞ」

「大丈夫ですよ! 勝たないといけない時が、男にはあるんです」


 笑顔を見せるが、鋭い眼光を放つソノに、俺は気づいた。



 ソノは優しく言葉を言うが、

 (はらわた)が煮えくり返っていた。

 それは、ソノとピケがタクロウと合流したのにも関わらず。

 ルベルトの視線、言動はタクロウにしか向いていなかった。


 まるでどうでもいい物を、

 ただ退かした程度に思っているルベルトに。



「わかった。ここは頼んだ、ありがとうな」

「はい、タクロウ様もご武運を」

「あぁ」


 俺はその場から去ろうとした。

 去り際にピケが俺に告げる。


「先程は、すみませんでした」


 俺はその言葉に踵を返すと、ピケが深々と頭を下げていた。


「何かあったか? 俺は、気にしていない」


(アテナ様が認める訳ですね)


「ゲエハハハハァ。挨拶は終わりか?」


 ルベルトはすかさず、

 ハンマーを伸縮させ、上空からハンマーを振り下ろす。


「〝魔力の盾(シールド)〟!!」

 俺の頭上から凄まじいスピードで、振りかざされたハンマーは、

 ソノの障壁で止まった。


 俺はルベルトに向け、

 ニヤリと獰猛な笑みを見せ、その場から消えて行く。



「逃がすかぁああああぁぁあ!!!!!!」


 俺の挑発に対して。

 ルベルトの咆哮が響く。

 視線がタクロウの方を向いているのを見計らって。

 ピケは武技を放つ。


「〝五月雨(さみだれ)〟」


 ピケの細剣から放たれる、素早い連続の突き。

 その武技は北土流の伝統の技である。



 素早い攻撃を得意とする。

 北土流


 あらゆるものを受け流しカウンター技を得意とする。

 東水流。


 圧倒的な一撃を得意とする。

 南火流。


 トリッキーな道具や武器を得意とする。

 西風流。


 この世界は四つの伝統流派が存在する。


 狂戦士の一族と言われるモノは、

 全ての流派の武技を簡単に使えるという。

 武器を持つと最強の一族。

 それがピケのずっと──憧憬(しょうけい)していた。

 剣聖アテナだった。


 ピケの武技をルベルトは、

 ただ、左腕でガードするだけで防いだ。

 防具の耐久性、体の魔強化だけで、防いだのだ。


 何年も何十年も鍛錬した技を簡単に止めた。

 だが、ピケは攻撃を止めなかった。

 今までのピケであれば、この光景を眼にすれば。

 諦念(ていねん)し、一瞬、いや攻撃が止まっていただろう。

 だが、ピケは一切攻撃を止めなかった。


 素早く動き、ルベルトの視線から外れるように、

 また、武技放つ。


「〝五月雨(さみだれ)〟!!!」


 ルベルトはソノの攻撃をハンマーで振り払おうとするが、

 激情にかられている攻撃など、かすりもしなかった。

 ソノの鋭い突きが、何度もルベルトの金色の鎧に刺さる。


「クソっ鬱陶しいいい!!!!!」


 ルベルトの咆哮にニヤリと口元を返し言葉を放つ。


「ようやく──私を見たな」


 ピケが攻撃が届かずとも、心がぶれずに動けているのは、

 信頼する人がいたからだ。


「これで終わりですよ。 〝突出岩(レイジクロス)〟」


 ソノが唱えた上級土魔法。

 時間をかけ、魔力を込めた魔法。

 ルベルトの足下、いや周りを全て囲むように、

 魔法陣が現われる。


 そして、魔法陣から数多の尖岩がルベルトに迫る。


 一瞬だった。

 ルベルトを籠城するように岩が集まった。

 それはまるで鋼鉄の処女の様に突き刺していた。


 その光景を見て、

 ホッと方を撫で下ろす様にソノはピケに笑顔で告げる。


「やりましたね」


 この言葉は異世界でも同様のフラグであった。

 ルベルトを籠城する岩は凄まじい音を立てて崩れていく。


「クソっやろおうおおおお!!!!」





 ━━━━━━━━━━━━━━━刹那。





 ピケが武技を放つ。



「〝五月雨二式(さみだれにしき)〟!!!!!!」


 この時を待っていたかのようなタイミングで放つ。

 ピケの渾身の技。

 百を超える突きが一瞬でルベルトに向かう。


 ルベルトは余裕の笑みを見せ、魔法を使わず、

 腕でクロスガードをするが。

 甘かった。


 ルベルトの余裕を踏まえて放たれた武技は、

 圧倒な技であった。

 この一撃の為に、

 心を、攻撃を研ぎ澄ませていた。


 ────その一撃は止まらない。


 ルベルトは物凄い、勢いでくの字に吹っ飛ばされる。

 ピケは吹っ飛ばされる光景など、見ずに踵を返し、

 ニヤリとし、ソノへと向かっていくのであった。


 ソノは驚嘆していた。

 いや、少し悔しさもあった。

 自分で倒すと言っておきながら。

 肩を撫で下ろした自分に。


 だが、それ以上に目の前の強い騎士にただ。

 惚れなおしていたソノだった。


「ピケ……凄い」

「いや、そんな事はない」


 ピケは何が強さなのか、わかった気がした。


 そして、はぐれたセバスチャンとリリーを探しに行くのであった



 ---



 タクロウ、ピケ、ソノがルベルトが戦っている最中。




 金髪ツインテールは戦場を見渡していた。

 リリーのツインテールがぴょんぴょんはねていた。

 高ぶっているのだ。


「うぬ、ルルの解説はかなり助かるわね」

「そうですね。お嬢様」


 リリーの傍にいるのは執事のセバスチャン。


「おお!!! 鬼神のハドリー殴る倒す。殴るぴょん〜」


 円卓の騎士のメンバーが大型ビジョンから消えた直後。

 ルルはずっとハドリーの解説。

 そして、海の上のウインドフィッシュが、

「もう直ぐくるぴょん、もう直ぐくるぴょん」と解説をしていた。


 リリーとセバスチャンはウインドフィッシュが、

 街に入るまで戦闘を避けながら、隠れながら移動していた。


 だが、ソノとピケとはぐれたのは想定外であった。


「もう少しで魚が街を覆うから視界が悪くなる。

 その間に少しでも戦わず。力を温存するわよ!」

「はい、お嬢様」

「やっと──見つけた」


 リリーのツインテールの動きが止まった。

 聞き覚えのある声。

 追いかけてた声。

 視線を転じると、

 そこにはカインが立っていた。


「魚が来る前にそろそろ脱落しようか。お二人さん」

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感謝です。
読んで下さり有難うございます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ