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第83話「勝ちたい相手」

「二十三、二十四、そして、二十五だ!!」


 アテナは素早く跳躍しながら、

 敵を次々と倒していく。


 ルークはアテナのリュックサックの上にしがみついて、

 アテナに補助魔法をかけていた。


「すまないな、アタクシの方に付いてもらって」

「大丈夫ですよ! 流石剣聖アテナ、強いです」

「ありがとう、ルーク」


 だが、ルークは不思議に思っていた。

 大剣で敵を圧倒するアテナだったが、

 まだ、一度も魔法を唱えていなかった。



「また、敵だなルーク」


 アテナが視界に敵を捉えた。

 ルークもそれに気づき、中級闇魔法を唱えた。


「〝弱遅化(スロウ)〟」


 敵の動きが遅くなる。

 すかさず、アテナは狙いを定めた。


「ナイスだ、ルーク」


 アテナは敵に袈裟懸けする。

 大剣が敵にぶつかる前に剣圧だけで敵が、

 錐揉(きりも)みしていく。


「すごい! アテナ」

「これくらいは余裕だ」


 屋根の上を跳躍しながら、

 敵を探す、ルークとアテナ。


 少しでも、タクロウの邪魔になる敵を、

 素早く、屠っていった。

 いや、敵が吹っ飛んでいった。


 子供を背負っているアテナであれば、

 行けるだろっと淡い期待を持ちながら、

 敵は名を上げるために剣聖アテナを正面から戦う。


 だが、それはアテナにとっては都合が良く。

 相対する敵を剣圧で吹っ飛ばしていく。



 四十を越える敵を倒した頃。

 少しだけ屋根の上で休憩を取っていた。


 まだウインドフィッシュはまだ海の上、遠い。

 だが、数十分で魚の群れは街を覆い尽くすだろう。


 何万、いや何十万の魚の群れ。

 あれが街に入ると視界がかなり悪くなる。

 アテナにとって少し、それは不利であった。


(もう少し、主殿の邪魔になるような敵を、

 倒さなければならないなぁ)


 ルークはアテナの姿を見て、

 剣聖の強い姿はあったが、

 何処か悄然(しょうぜん)そうだった。


 ルークは徐にアテナに告げる


「アテナは魔法を使わないのですか?」


 ルークの問いに、

 少し逡巡(しゅんじゅん)していたアテナだったが、

 ルークの瞳から意を受取り、話し出した。


「ルーク、見抜いていたか。

 アタクシは魔法が使えないのだ」

「そうなのですか」


 ルークは驚愕していた。

 どれだけの鍛錬を踏めば、この様に、

 魔法を使う敵を圧倒、出来るのだろうか。


 ルークはその一言でアテナの今までの生き様を、

 理解してしまった。


 アテナは魔法が使えない。

 詠唱しても一切、魔法陣が出なかった。

 その上であの名高いクランに居る、

 千血が姉だ。

 アテナの強さにルークは憧憬(しょうけい)していた。


(私もアテナの様に強ければ。

 自分自身に誇りが持てるのでしょうか)



「アテナは強いですね。私は羨ましいです」


 アテナはルークのしょんぼりした顔を見て、

 すかさず告げる。


「いや、アタクシは弱い。

 魔法が使えない事を主殿に話して、嫌われるのではないか不安だ。

 だから、アタクシはルークに付いて来てもらったのだ。

 卑怯者だ」


 それを聞きルークはニッコリと微笑みながら言う。


「アテナ! 一つだけ絶対があります。

 なかなか物事には絶対は少ないですが、タクロウ様はそんな事で嫌いになったりはしませんよ」

「だが、主殿は強い。きっと────」


(また、敵か)


 アテナは視線を転じる。

 そこに居たのは、カインと千血のアディラだった。


 カインはアテナとルークを見て、

 ニヤリとしながらアディラに告げる。


「姉さん、俺は少し用がある。ここを頼んでもいいかな」

「あぁ、問題ない」


 アテナ、ルークもまさか、こんな所で千血のアディラと、

 一戦交えるとは思ってもいなかった。


「ほぅ、そのガキをまだ、連れているのかアテナ!!」


 殺気に満ちた眼光でルークとアテナを睨むアディラ。

 アディラはアイテムボックスから、漆黒の鎌を出す。

 そして、構える。


「悪いがルークはクランのリーダーだ。

 仲間である。

 アタクシが護る。主殿にそう仰せつかった」


 アディラの(とばし)る殺気に大剣を構えるアテナ。


「まだ、くだらん男の命令を聞いているのかアテナ」


 アディラは言ってしまった。

 ルークとアテナの地雷を、

 ルークとアテナの表情が変わり睨む。


「アテナ、私は千血に勝ちたいです」

「あぁ! アタクシもだ」


 因縁の対決が始まったのである。



 ---



 数十分前。



「完璧に迷ったな」


 俺は一人になっていた。

 解説者のルルが馬鹿みたいに俺達を画面に映すから、

 直ぐに冒険者の的になった。


 セナとレイとバラバラになってしまった。

 あの時の王女デリラの変な笑みはこういう意味か。

 クソっ。



 ---



 宮殿に戻り、謁見の間でデリラと宰相が話し合っていた。


「王女様。よいのですか?

 あの様な新設クランばかり映像に映し出して」


 恐る恐る宰相はデリラに告げる。


「よいのじゃ。あれはいずれ、妾が貰う。

 必ず手に入れる。

 妾は愉快じゃ」


「いいのでしょうか?

 万が一にも七色の十字(サザンクロス)が負けるような事があれば」


 ふふふっと宰相に妖艶な笑みを見せながら告げる。


「七色の十字が勝つのは確定じゃ」

「確かにそうの通りですね。主力三人がいれば」

「あぁそうじゃ」


(本物の水龍(リヴァイアサン)のクリスタは確定で、七色の十字に渡るだろう)



 ---



 俺は屋根を跳躍しながら、逃げまくっていた。


「すごい、戦っているな。

 まだ目的の魚の群れは来ていないのに」


 俺は少し離れた屋根の上にいる、

 見た事がある姿に近づいた。


「おぉ! ソノとピケじゃないか〜」


 金髪ツインテールのリリーといつも一緒に居る。

 スーツの美男美女のソノとピケ。

 クラン珊瑚(コラール)のメンバーである。


 ソノも俺に気づき、手を振っている。


 クソっ爽やか笑顔で手を振ってやがる。

 イケメンが。


「タクロウ様〜大変そうですね」

「あぁ、大変だよ。全く」

「ふふふっ人気者は辛いですね」

「こんな人気なら、交代するよ」


 俺とソノが和やかに話していると、

 ピケが細い剣をアイテムボックスから出し、

 俺に剣先を向けた。


「タクロウ様。勝負です」

「──えっ? ピケなんで、だ」

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

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