第81話「会話」
「お兄様? どうかされました?」
「タクロウ、大丈夫?」
しまった。
めちゃくちゃ顔に出してしまった。
「あぁ、セナとレイが買ってきてくれた、
ドリアがとても美味しいから、びっくりしたよ」
「えへへ〜 よかったなのだよ」
「お兄様! ありがとうございます」
ルークも熱心にもぐもぐしている。
まぁ、十歳だから当たり前か。
ふふふっ可愛い。
そうじゃなくて。
クロ。
ロボってなんだ?
おい。
「みゃあ〜」
クロは念話をしない。
ほら、頭をなでなで、するぞ。
「にゃあ〜」
黒猫、可愛いな〜
ほんとに。
クロが念話する。
『ロボですわ。
アナタ様が頭でイメージしたモノで間違いありませんわ』
クロ。
なんで、機械がない異世界に、
そんなモノを。
『話した通り、ワタクシはこの世界の管理を引退しましたわ。
折角、最期の管理での呼び寄せですので、変わったものをと』
なるほど。
そういう事か。
危なくないのか?
ロボットとか。
『大丈夫です。害はないと思われます。多分』
多分かよ。
ロボットね〜
『アナタ様と会わない可能性もあります。
人だと必ず巡り合わせがありますから』
ん?
巡り合わせ?
まぁ、いいやぁ。
なるほど。
「ワタクシが呼び寄せた。
モノよりは他のものに気をつけた方が良いかと」
誰だ?
『まずは神です。光の女神セルシア、火の女神レーネシア。
後はワタクシの後見人の闇の女神ラーラ』
光と火がやばいのか。
悪い奴とか?
『まぁ、自意識過剰なのです。
ワタクシは大嫌いですが』
なるほど。
神様が自意識過剰ねぇ。
それよりも、クロの後見人もやばいのか?
『やばくは無いです。
ふふふっ、ただ、頑張り屋さんなだけです』
頑張り屋さんね〜
神様で頑張り屋か。
ちょっと怖いな。
「セナ! 何してるの!」
レイの声。
俺の頬に柔らかい感触が。
いい匂いがする。
「スキありなのだよ〜」
セナが俺の頬にキスをしていた。
「セッセナ」
「考え事してるのだよ〜 僕、分かるんだよ!」
「あぁ、すまない。セナ」
「えへへ、いいよ〜」
「むぅ〜セナまた抜け駆け!」
レイはむむむって顔をセナに向けている。
いかんな、みんなの前で念話をしていると。
ボーっとしてる様に見られるな。
また後だな、クロ。
俺はクロを撫でる。
「みゃあ〜」
ありがとうな、クロ。
ルークは急いで口を拭き、立ち上がり。
俺の膝の上にちょこんと座った。
「タクロウ様! ご飯、食べ終わりました」
「そうか、そうか美味しかったか?」
「はい!」
アテナがそれを見て言う。
「ルーク! 主殿はまだ食事を済ませてない。
膝の上にいたら邪魔だろう」
「ややです!」
ルークが蝉みたいに俺に抱き着いている。
甘えたい時期なんだろう。
「少しだけなルーク」
「はい! タクロウ様」
ルークがまた、にぱ〜とした顔を見せた。
可愛い。
「お兄様! ルークに甘々過ぎます」
「そうか、俺はセナに甘々だけどな〜可愛い妹だから」
「お兄様!」
レイはえへへと喜んでいる。
よかった、よかった。
セナが真面目な顔をして。
話し出した。
「今回のフェスティバルはウインドフィッシュを沢山狩ったクランが勝ちなのだよ!
召喚石もアイテムも使い放題。
リュックサックに入っている魔法石をウインドフィッシュに食べられたら失格なのだよ。
後は戦闘不能になると失格
人を殺しても失格」
そうか、セナはフェスティバルの内容を話しているのか。
確かに、開会式の説明はアバウトだったからな。
ルルがハドリーにビビりすぎて、
説明を端折っていたからな。
「なぁセナ! リュックサックに魔鉱石って?」
「参加者申請を済ました際にアイテムを貰ったのだよ。
リーダーのルークがみんなの分を持っているよ」
「はい! 持っています、タクロウ様」
しかし、ルークはほんとにむぎって甘えてるな。
みーんみーんって鳴くんじゃないか?
だが、ルークはここまで甘えん坊だったか。
まぁ、いいやぁ。
「リュックサックに入った魔鉱石を魔物に食べられたら
失格ってことか?」
俺の問にセナが答える。
「そうなのだよ! ウインドフィッシュは人に害が無いけど。魔鉱石や魔力が大好きなんだよ。
それを沢山食べるのがこの時期なんだ!」
へえ〜
ウインドフィッシュね。
海に潜るのか?
リュックサック背負って。
分からぬ。
でも、召喚石も使えるのか。
あんな天使みたいなのが出てきたら、
めんどくさいな。
そういえば、俺も召喚石があったな。
サリエルって召喚石。
俺はアイテムボックスのディスプレイを開いた。
「────ぇぇえええ!!!!!!」
俺は驚愕した。
「お兄様! どうされましたか」
「タクロウ大丈夫なのだよ!?」
「主殿!!」
「タクロウ様」
二千万ペルって。
何、このお金。
いつの間にこんなお金が俺に?
どういう事だ。
動揺しながら、俺は告げる。
「その、お金が二千万ペルあるんだけど。なんでだろう」
キョトンとしていた。
セナとレイとアテナとルークだったが、
俺の話を聞いてニコニコしはじめた。
「良かったのだよ〜」
「お兄様! おめでとうございます」
「主殿はさすがだ!」
あまり驚いてない。
二千万ペルって。
「なんで俺にこんなにお金が?」
膝の上に乗っているルークが答える。
「模擬戦のファイトマネーですよ〜 タクロウ様」
「模擬戦? ファイトマネー?」
────あぁ!!
あれか?
一撃プギヤァ男とアテナとの宮殿での模擬戦か。
俺はあの時は、クロの王級闇魔法の重力圧に驚き過ぎて、
ポカーンとして、そのまま出ていったんだっけ。
まぁ、女神が魔法とか。
それは、剣聖アテナもやられるわな。
「でも、あんな模擬戦で二千万ペルとか、頭おかしいな。
あの王女」
「はい! タクロウ様。頭悪そうですよね」
意外とルーク、毒舌。
「ほぅ、妾が頭が悪いじゃと!」
俺は視線を転じる。
そこに居たのは、
ミルディア・B・デリラ。
「えっ! なんでここに!」
デリラは妖艶な笑みを見せながら俺に告げる。
「まぁ、よい。魔法学園を卒業した後に、妾に仕えるがよい。タクロウ」
えっ?
急にこの人なんだよ。
前もそうだけど唐突だよな。
この王女。
「タクロウは渡さない!」
「お兄様は渡しません!!」
セナとレイが立ち上がり、
デリラに睨みをきかしている。
「ほぅ、シフォン家とアルベルト家の王女が何故ここに?
ふふふっまぁ、知っていたがな」
デリラは面識あるのか?
セナとレイに。
同じ王族だからか。
「僕、知らないもん! 頭悪そうな王女様なんて」
「私も知りません。ふーんだ!」
座っている俺にデリラが後ろから抱き着いてきた。
「なら、魔法学園で決着をつけよう」
「いいのだよ!」
「はい!」
セナとレイの後ろに阿修羅が見える。
いや、虎か龍か。
恐ろしい。
俺は驚愕した。
なんだあれ?
海の上。
「あれ、なんだ──」
デリラがふふふっと笑いながら告げる。
「開催ですわね。フェスティバル」
俺は見た事がある、前世で……この光景。
サクトビバッタの大群だ。
空を埋めつくほどの魚の群れ。
十万匹を超えるウインドフィッシュが空を埋めつくし、
街へと向かっていた。
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