第80話「遊び心」
変な間が出来た。
俺が当たり前の様に話すからだ。
セナとレイとアテナがキョトンとして、
俺の言葉を待っている。
それを切り裂いたのはルークだった。
俺の右腕の袖を掴みながら、そっと俺に聞いた。
「タクロウ様はエルフ好きなのですか?」
エルフ、可愛いなぁ。
会ってみたい。
きっと美男美女の一族なのだろう。
そうか、ルークは転生者だ。
きっと。
だから、俺の先程の言葉を理解し、
そう、俺に声を掛けたのだろう。
しかし、何故そのようなつぶらな瞳で見ているのだろう。
不思議だ。
俺はルークに言葉を返す。
「エルフは好きだよ。見てみたいなぁ〜」
ルークはそれを聞いて、顔が晴れやかになった。
ルークも好きなのだろう、エルフ族が。
俺の言葉を聞いた後、ルークは俺の右手を握り出した。
にぎにぎしている。
まぁ、いいだろう。
可愛い。
だが、ロリノータッチだ。
セナがその会話をキョトンとして聞きながら、
もう一度、俺に告げた。
「エルフってなんなのだよ〜」
う〜んなんて返そう。
難しい質問だ。
こういうタイミングには何故か、
クロは念話をしてこない。
まぁ、彼女のタイミングもあるのだろう。
下手に嘘つくのもなぁ〜
すまない。
父さん犠牲になってもらおう。
「クリスから聞いたんだよ。御伽噺かな」
レイとセナはそれを聞いて、
「なるほど、なるほど」と頷いていた。
「クリスさんは詳しいからね、そういう事」
「あぁそうだな!」
「お兄様! 向こうに座ってご飯を食べましょう〜」
「あぁ、そうだな。セナ、レイありがとうな」
「いいのだよ〜」
「いいですよ〜」
お腹すいたな。
とりあえず、腹ごしらえをしよう。
「買いに行ってもらってすまない。
こういうのはアタクシが買いに行くべきだった」
「気にしないでください!」
レイがにっこりと笑顔でアテナに話す。
「あぁ、すまない!」
アテナも笑顔で返した。
なんだかんだ、仲良さそうだな。
---
俺達は大聖堂ギルド内でセナとレイが買ってきた。
ご当地グルメを食そうと良い場所を探していた。
そして俺達は二階の海が見える場所で、
白いテーブルに座った。
「綺麗だな〜」
「ルーク! どこに座っているですか」
ルークは恰もこれが私の当たり前の席だとでも、
言うように普通に俺の膝にいた。
「タクロウ様、ダメですか?」
上目遣い、どこで習ったのだろう。
可愛い。
「ダメに決まってます! お兄様が食べにくいでしょう」
「ややです!」
ルークがむ〜って顔をしている。
超可愛い。
ダメだ。
レイの言う通りだ。
行儀悪い。
だが、ルークが食い下がるとは珍しいな。
甘えたい時期なのだろうか。
「ルーク! 食事の時はダメだぞ。
レイの言う通り、お行儀が悪い」
「なら、タクロウ様。
食事の後で膝の上に乗っていいですか?」
「まぁ、それならいいだろう」
「わかりました!」
ルークは、にぱ〜っとした顔を見せて。
俺の正面の席に座った。
俺の左右はいつも通りセナとレイが座っているからな。
「主殿!」
「どうしたんだ? アテナ」
「アタクシも後で、膝の上に乗ってもいいだろうか?」
このアテナの顔、さっきのリリーの顔じゃないか。
ものすごくモジモジしている。
ダメだって言ったら。
リリーと同じ、先程の顔を見せるのだろうか?
「アテナも後でな!」
「はい! 主殿!!」
アテナはそう言うと嬉色を見せて。
ご飯をもぐもぐし始めた。
「お兄様! 私も後で膝をかります。その……」
「あぁいいぞ!」
(あれ? いつものお兄様なら恥ずかしいと言って。
断るのに。お兄様、甘えますからね!)
左に座っているセナが何も言わず、
俺を見ている。
右頬だけを膨らませている。
「セナも俺の膝、借りるか?」
「僕もいいの! えへへ、やったのだよ〜」
俺達は和やかにレイとセナが購入した。
ご当地グルメを食べていた。
まぁ、アテナが買いに行かず。
セナとレイが買いに行った理由があるのだ。
フェスティバル開催の当日はお店がどこも開いてなくて。
アテナが探すのが手間だろうと、変わりにセナとレイが、
買いに行ったのだ。
フェスティバル開催の当日こそ、
稼ぎどきじゃないのか?
不思議だ。
だが、セナとレイとアテナが同接点があったのか、
さっぱり分からないが。
レイに聞くと「ふふふっ内緒です。お兄様」と、
言われたからな。
まぁしかし、何故、アテナが俺の事を愛しているって、
いきなり、言ったのだろう?
狂戦士の一族はまさか、一度負けた相手に、
忠誠を誓うと言う、文化でもあるのだろうか。
だが、それだと愛してると言う言葉おかしい。
これは正さなければならない。
でもさっきの顔。
ん〜わからないなぁ。
あれだ、そうだ。
俺の今までの推測だが。
七人この世界は転生、トリップもいるのか?
まぁ、いいや。
俺はシルビアから呼び出された。
何の女神様か不明だが。
まぁ、厨二病の女神とでも名付けよう。
カインはきっと風の神様から呼び出されたのだろう。
あの時、現れた時の魔法は、風だ。
予想だが。
どうでもいいな、コイツは。
ルークは光と闇の魔法が得意だから、
光の女神セルシアからか?
それとも、闇の女神ノエルからか?
いやいや、今はクロだったな。
こう言う時に本人が教えてくれるのが早いのだが。
理由があるのだろう。
おら、このこの〜
俺はクロの頬をちょんちょんした。
「みゃあ〜」
クロは俺の指をぺろぺろしている。
可愛いなぁ黒猫は。
可愛い。
クロが念話をする。
『ワタクシはルークを呼び出してませんわ』
あっ!!
クロが反応した!
そうなのか、
じゃあ、ルークは光の女神セルシアからか?
なるほど。
後、四人か。
クリスも気をつけろって言ってたからな。
ありがとうな。
クロ。
『ワタクシも後で膝を借りますね〜』
いいぞ〜いいぞ。
いつでも借りていい!
可愛い黒猫にいつでも膝なんて貸せる。
『男に二言はありませんわね? 』
当たり前だ。
クロ。
いつでもカモンだ。
『ふふふっ良い返事です』
まぁ、本当は教えちゃいけない事だろう?
ありがとうクロ。
『いいですよ〜折角ですから、ワタクシの呼びせたモノも、
お教え致しましょう』
いいのか、そんな事。
『特別です』
なんだろ。
少しワクワクする。
『それはこの世界に存在しない機械。
所謂、ロボットです』
えっ?
それはダメじゃないのか?
『ちょっとした、遊び心です』
──はぁぁぁ!!!
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