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第77話「開会式」

 俺達は冒険者ギルドにいた。

 そして、縦一列にクランごとに並んでいた。


 バカ広い大聖堂のギルド内なのに、

 ものすごい圧迫感を感じる程に人がいた。

 ギルド内の大広場で俺達参加者は開会式を待っていた。


 こんなに参加するのか?

 このフェスティバルは。


「凄いな。これは」


 後ろにいるセナが俺の言葉に反応する。


「今回の特賞がかなり羽振りがいいのと、

 このフェスティバルは昔から人気なのだよ〜」

「へぇ〜そうなのか!」


 先頭はルーク。

 そして俺、セナ、レイ、アテナの順で縦一列に並んでいる。


 俺達の左前の列にはリリー、セバスチャン、ピケ、ソノ。

 クラン 珊瑚(コーラル)のメンバーもいるな。


 冒険者同士はザワザワしていた。


「おいおい──あそこに千血(せんけつ)がいる」

「あぁ、しかも、先頭にいるのは鬼神ハドリーだ」

「なんで、トップクランのハートの二人が、

 街のフェスティバルに参加しているだよ」


「それによぉ後ろにいる金髪の男。

 最年少で七色の十字のメンバーに入ったカインだったよな」

「まじかよ!!

 魔法学園を卒業してないのに、

 トップクランにいるのか!!」

「ありえねえ」

「これは優勝は無理だな〜」


 やはり千血とカインもいるのか。

 だが、鬼神ハドリーって凄い名だな。


 どんな奴なんだ?

 ここからじゃ、見えない。


「おいおい、あそこ見ろよ」

「あれは赤羅の群青じゃないか!!

 しかも、先頭にいる奴は金色のルベルトだ」


「なんだこの参加メンバー

 国レベルのフェスティバルだぞ。

 この子メンツは」

「あぁ、そうだな。

 しかし、だからこんなにも人が多いんだ」

「二百人近くあのクランだけで参加をしている」


 俺はめっちゃくちゃ聞き耳を立てていた。

 一つのクランで二百人参加とか凄いな。

 そんなクランもあるんだな。


「赤羅の群青か」

「ふふふっ、セナ師匠が教えてあげるのだよ!」


 セナが俺の肩を掴んで話す。

 嬉しそうに私の出番だっと言う感じでこっそりと告げる。


「あっありがとうセナ。だが、少し近いような」

「僕もメロン位は育つ、ポテンシャルを秘めているのだよ!」


「ぇぇええ! なんでそれを!」

「アテナをいやらしい目で見てたのだよ〜」


 そう言ってセナは後ろから少しムギュってする。


「わかりました、セナ様!」

「わかればいいのだよ〜」


 セナは嬉しそうに笑顔を見せて話し出した。


「赤羅の群青はダイヤ・キングのクランなのだよ」

「トップクランか!」

「うん! しかも、メンバー数は万を超えるのだよ。

 数の赤羅の群青。

 個の七色の十字と良く言われているんだ!」

「へぇ〜凄いな。万とか」


(でも、周りの冒険者が話している通り。

 観光街のフェスティバルに、

 二つのトップクランが参加するっておかしいのだよ)

 

「凄い人だよな〜セナ」

「うん、でも勝とうね!」

「あぁ!」


 ルークは俺とセナの話に加入せずに、

 真っ直ぐ前を見て立っている。

 気合い入ってるな。


「おいおい! 見ろよあそこ!」

「まじかよ!!! 剣聖がクランに入ってるぞ!」


 その言葉で周りの冒険者が、

 俺達の方に一斉に視線を転じる。


「何処のクランだ? あれは?」

「いや、わからねえ」

「でも、あの剣聖が一番後ろに立っているんだそ!

 おかしいだろ」

「あぁしかも、先頭はまだちっこい少女だぞ」


 セナが後ろでふふふっと言っている。


「タクロウ! 目立っているのだよ〜」

「あぁ、そうみたいだな」


 嫌な目立ち方をしているな。

 前世でもクリスからも言われたが。

 ──出る杭は打たれる。


 まぁ、頑張るか。


 壇上に急に現れ、ぴょんぴょんはねている女。

 双頭龍が激しく揺れている。


「ハイ、ハーーーイ!!!

 皆様お静かに〜

 これから開会式を始めますだぴょん!!」


 俺達の目の前にいるのは、

 うさぎ耳をつけているピンク髪の女だった。


 あれは?

 ──なんだ???


 ルークが振り返り俺に話しかけた。


「タクロウ様!

 本物のピョンスケのルルですよ!

 私初めて見ました! すごいですね!!」

「あぁ、そうだな」

「私、来てよかったです!」

「そうか、そうか」

「はい!」


 ルークが目を輝かせて俺に告げた。

 ルークはまた直ぐに踵を返してルルを見ている。


 ピョンスケのルルなんだそれ?

 初めて聞いたぞ。

 有名なんだな。


 肩にちょこんと乗っている。

 クロが念話する。


『あなた様知らないのですか?

 ピョンスケのルル』


 クロ! びっっくりした。

 急に念話するなんて。


『ワタクシはサポート役ですよ!

 あなた様の知らない事はワタクシに聞いてくださいませ』


「みゃあ〜」


 クロは頬をすりすりしながら念話をしている。


 ──可愛いな。

 兎より猫派だぞ俺は。


 クロ、教えてくれないか?

 あのうさぎ耳の女。


『あれは有名なアナウンサーなのです!

 色々な場所のフェスティバルの司会をやっていて。

 とても有名人なんですよ』


 なるほど。

 だから、ルークがウキウキしていたのか。

 クロありがとうな!


『いえいえ〜』


「今回のフェスティバルの司会進行役はこの私!

 ピョンスケのルルが努めますピョン!

 主催者様に大きな拍手をお願いいたします!」


 ここにいる冒険者全員が拍手をする。

 拍手の音で俺の心臓が跳ねる。


 あぁ──ワクワクするな。


 そして、壇上に上がり。

 俺達の目の前に現れたのは、

 この街の王女ミルディア・B・デリラだ。


「今回のフェスティバルは毎回同じ魚狩りじゃあ!

 余を楽しませろ!

 優勝の褒美は水龍(リヴァイアサン)のクリスタのレプリカだ!

 二位はバクチからアース行きの超豪華客船の旅じゃ!

 何人でも連れて行ってやる!

 三位はこの街のホテルの無料券一年間分じゃ!」


 デリラの話を聞いているルル。

 オーバーリアクションで頷いている。


 また、双頭龍が暴れている。


「素晴らしい報酬だぴょん!

 このフェスティバルはギルドも提携管理をしているフェスティバルなので!

 クランランク、そして、冒険者ランクがあがるチャンスだぴょん!

 是非是非、優勝をねらうだぴょん!

 でわ今回の冒険者代表のハドリー様前へお願いいたします」


 フェスティバルが始まる。

 ただ、皆の前に現れたハドリーの姿は、

 この世界の片隅に眠る秘密でもあった。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

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読んで下さり有難うございます。
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