第73話「管理世界」
俺はその言葉に少し戸惑った。
交替?
どうゆう意味だ?
クロとシルビアは俺を瞳を見つめている。
二人共、思考が読めているんだろ?
話してくれ。
「シルビア、クロ」
「……」
シルビアは無言だった。
俺を見て。
無言だった。
クロはいつもの様にニッコリと俺を見つめ。
話そうとする。
「そうですわね〜この世界は──」
「何を言おうとしている!!!」
クロが話そうとした。
それをシルビアが遮った。
俺は初めて見たシルビアが怒った姿を──
俺は一驚した。
いつも意味不明な言葉を言ったり。
俺をイラつかせたり。
笑わせたりしていたシルビア。
本気で怒っている。
「それ以上は言うな! 巻き込むなこの人!!」
「……」
「へぇ〜珍しく怒るのですね」
俺は吸い込まれるように二人の会話を聞いている。
「あなたもタクロウ様の意志を感じないとは言わせない!」
「……それは──しかし、これは禁忌だ」
そのシルビアの言葉にクロはニッコリと微笑んだ。
まるで将棋を打っているかの様に。
クロは感情的になっている。
シルビアの悪手を出そうとした。
──それが今の言葉
「あなたは一度──禁忌を破っていますわね?
三百年前の転生者に全てをお話に。
全ては禁忌ですわね?」
「──なっ!!!」
「いいですわね? ちゃんと話せる事だけ話します。
あなたは下手くそですから」
「──わかった」
シルビアがその言葉で冷静な顔になる。
感情的になった自分を後悔して少し唇を噛む。
そして、クロが俺に視線を転じて話し出す。
「この世界は七人の神様が管理していますの。
その神様一人一人は定期的に他の世界から人を呼び寄せています」
「そうなのか」
「はい。昔はこの世界を救う為に呼び寄せていました。
ただ、今は呼び寄せた人を神個人の思惑の為に動かせる神が多いのです」
「なっ──」
じゃあ、クロの言う話では転生者は七人居るってことだよな。
やはり、カインも転生者で後、五人も転生者がいるのか。
クロは俺に微笑みを見せ──話しを続ける。
「はい! タクロウ様、その通りです。
今回の定期的な呼び寄せをされたモノも七人います。
それと、あなた様が気になっていた。交替の件です」
「あぁ──」
俺は息を呑んだクロを見つめた。
「単純な話です。忘れ去られたモノ、去るものは違う世界の管理者になるのです」
「どういうことだ?」
「そのままですよ。あなた様。
交替。次の神に管理を委託する。
そして、違う世界を見守る。
新しい神が信仰される。
どの世界でも──そうだと思いますが」
「……」
そうだ。
俺の世界でも同じだ。
時間が経つにつれて続々と歴史の中に神様が出てくる。
交替? 記憶──信仰心。
そういう事なのか?
クロは考えている俺の思考を勿論理解して。
──話す。
「まあ、神様が勝手に変わろうとも。
人に及ぼす影響はないかと思います。
ただ、定期的の呼び寄せが問題です」
「それは……」
「転生者には神からの恩恵が与えられます。
神も全てが善とは限りません。
神同士も敵の場合もあります。
この意味あなた様ならわかりますよね?」
「……」
迫害、地位、名誉。
なるほど……
転生者が英雄になりこの世界に及ぼす影響。
────その見聞は神様をも殺す。
「でもあなた様、そのままを過ごしてください」
クロの言葉に驚愕した。
えっ?
──急になぜ?
「どうしてだ?」
「あなた様はなぜ? 恩恵を貰わず。
前世と同じような姿をしているのですか?」
「……えっ──確かにそうだ」
カインにも言われたが。
俺は何も知らされていなかった。
転生して魔法すら使えなかった。
確かに──確かにクロの言う通りだ。
クロは俺の瞳を見つめ──告げる。
「あなた様はなんと言われ、この世界に来たのですか?」
「……」
俺は霧がかったような頭が回転を始め。
閃光のように思い出した。
【貴方は異世界で青春を過ごしませんか?】
そう言えば……この言葉で俺はこの世界に来た。
「そうですあなた様。その通りです。
この女神シルビアはただ──ただあなた様に異世界で青春を過ごしていただく為に呼び寄せたのです」
「そんなこと……」
「この女神は頭が悪いです。
忘れ去られた状況にこの世界の管理時間があまり残されていないのに──
ただ、一人の異世界の人の願いを叶えたのです」
「……」
(ワタクシが先にやろうとした事を取られましたからね。
言いましたわよ。シルビア)
「あなた様には義務があります。
この世界をのんびりと過ごしてもらう」
「……」
俺はシルビアの瞳を見つめた。
俺の思考が読めているんだろ?
シルビア──
シルビアは目を逸らさずに俺を見ている。
そして、シルビアは俺に告げる。
「あなたの自由に生きなさい。それが私の望み」
「わかった」
なら俺は……
(私の予想外は一つだけあった。
一つ目の運命の子、セナ。
あの子はセルシアから転生された子。
まさか、その子がタクロウにセルシアから受けた恩恵を全て渡すとは思わなかった。
しかも、恩恵を捨ててあの強さ)
「もうすぐ時間ですわね〜
シルビアの閉鎖空間も動き出しますわ。
ワタクシは黒猫に戻ります」
シルビアが慌ててクロに告げる。
「神がそんな事ダメでしょう」
「そんな王様見たいなコスプレした人に、
言われたくありませんが、言いましたわよね〜
次のモノに管理を委託したと」
「えっ──本当に」
「はい」
(ワタクシの幸せはこの方の傍にいる事)
俺とシルビアはクロの言葉に驚愕している。
「ワタクシは黒猫になり。
タクロウ様をぺろぺろするのが日課の様です」
「────おい!!!! 言い方が汚い!」
しまった。
声に出してしまった。
いいか──どうせ読めているんだし。
「モチロン、捨て猫なんかにはしませんよね?」
「────なっ!!!」
クロは美しい瞳で見つめる。
「でわ、時間ですわよ〜」
「また、俺は聞きに行く。
次はお前の口から聞きたい。
教会に足を運ぶ。シルビア」
「フハハハハハハ!! また会いましょう」
---
そして、俺たちはトイレにいた。
俺の肩にはクロがちょこんと乗っていた。
まだ分からないことだらけだが。
だが、確信した。
やはり──シルビアは優しい女神だった。
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