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第70話「剣聖と師匠」

「何者か知らないが、アタクシの邪魔をするとはいい度胸だ」

「君こそ僕の弟子の熟睡中を邪魔しちゃダメだよ! 」

「そうです、お兄様は今寝ているんです」


 凪いだ海が夜空を映す。

 獣の様なギラギラした威圧感をセナに浴びせている剣聖。

 剣聖はセナの言った言葉が気になって言葉を飛ばす。


「弟子だと? なんの事だ」

「ふっふっふっ、タクロウは僕の弟子なのだ。

 その師匠の僕はもっと強いのだよ!」

「────なんだと」


(アタクシを一撃で出し抜いた。その師匠だと──)


 セナは喜色を見せていた。

 剣聖はセナの言葉に(いぶ)しんでいた。


 睨み合っている中。

 セナが告げた。


「レイ、ここは僕一人で充分なのだよ。見ていて欲しい」

「仕方がないです。セナ、ここは譲ります 」

「アタクシを置いて何二人で決めてる」


 眉を顰めながら剣聖はそう言葉を放つ。

 アイテムボックスから大剣を出し構えた。


「アタクシと戦うのなら二人でこい!」

「じゃあ、僕も準備しなきゃだね」

「──なっ!!!」


 鋭い目つきを見せながら──

 セナもアイテムボックスから双剣を出し構えた。


 剣聖は圧倒的された。

 いや……見惚れてしまった。

 名高い剣聖とまで言われ。

 名を轟かせている剣聖が、

 一目見ただけで吸い込まれてしまった。


 剣聖はセナを認め。

 睥睨(へいげい)し、口元をニヤリとしていた。


(この威圧感、私の姉千血(せんけつ)と同等か……

 今日はなんという日だ)


 セナはエクスカリバーとデュランダルを剣を合わせ。

 音を立てて剣聖を威嚇する。


 鼓膜を襲う金属的な音。

 セナの姿に剣聖の矜恃(きょうじ)が崩れてゆく。


 剣聖は自分を鼓舞させるように裂帛(れっぱく)する。


「倒す!!!!!」


 剣聖が大剣を両手で持ち。

 背中を思いっきり反りながらセナに打ち込んだ。


 その一撃は地面をビリビリと衝撃が走り。

 穏やかな海を荒すまでであった。


 ──剣聖は目の前を見た瞬間に驚愕する。


「……なんだと!!!」

「ふふふっ、まだまだだね」


 剣聖の渾身の一撃。

 セナは左手のエクスカリバーだけ──

 片手だけで受け止めた。


 セナもニヤリと返し。

 剣聖の攻撃を受け止めながら、

 右手のデュランダルで剣聖を薙ぎ払った。


「ぐはっ!!!!!」


 剣聖は海の方へと──吹き飛ばされた。

 それはまるで水切り石のように勢いよく飛ばされる。


 錐揉(きりも)みし意識を飛かける前に、

 剣聖は大剣を海に叩きつけ勢いを止めた。


 剣聖はセナの方をマジマジと見つめながら、

 悔しげに表情を歪めた。


(ありえない、ありえない、ありえない、アタクシがまるで赤子のようにたった二激でここまで圧倒されるとは……

 いや、いや違う、私を一撃で屠ったその師匠だ。アタクシは侮ったのだ……)


 セナは剣聖睨みながら告げた。


「次はモラルがある時間帯に来るのだ。今回は罰なのだよ!!」


 剣聖はセナの壮絶な威圧感を肌で感じた。

 ────跳躍して海から出た。


 剣聖が浜辺へと着いたのを見計らって。

 セナは魔法を唱えた。


「これでお終いだね! 〝雷槍(ライトニングスピア)〟」


 波の音も静まるばかり殷々(いんいん)とした響き。

 剣聖は思わず。

 いや──当たり前に大剣でガードした。


「────ぐぁぃあわあわぁ!!!」


 剣聖は海に浸かりビショ濡れだった為に感電した。

 剣聖は気絶した。


「セナ、流石です、圧勝でしたね!」

「タクロウのメンツがあるからね! 負けられないのだよ」


 そう言いながら、セナは剣聖に治癒魔法を唱えている。

 そして、セナとレイはギルド提携の宿屋。

 魚群丸の部屋を取って剣聖を寝かせたのであった。



 ---



 ──────剣聖とセナが戦っている最中。



 ふと、俺は目が覚めた。


「あれ? セナとレイ居ないぞ! どこ行ったんだ?」


 まあいいか〜と思いながら頭が冴えてくる。

 布団を上げる。


 俺は当たり前のようにルークを抱き枕にしていた。

 ルークはスースと可愛く寝ていた。


 うん可愛い。

 いや、俺はガチロリコンでは無い。

 そう心に戒めをしながら、再度寝ようとしていた。


「みゃあ〜」

「クロ! お前も一緒に寝ていたのか!」

「みゃあみゃあ〜」


 クロの毛並みは月明かりに照らされ艶冶(えんや)な姿を見せた。

 毛並みを見ると無性に撫で撫でしたくなる。


 すかさず俺はクロの頭を撫で撫でした。

 クロは俺の頬をぺろぺろしている。


「本当に可愛いなぁ〜」

「みゃあ〜」


 俺は剣聖との戦いを思い出してしまった。

 クロが闇魔法を唱えた事を。

 俺はクロが何者か過ぎったが、考えないようにした。


 それは怖いからである。

 知らぬが仏と言う言葉は大切だ。


「みゃあ〜みゃあみゃあ〜」

「しかし、可愛いな〜。一緒に寝るか」

「みゃあ〜」


 俺は明日のフェスティバルの内容を全く何も知らない。

 大丈夫か?

 本当に。


 だが、不思議と不安はなく。

 直ぐにまた、眠りへとついたのであった。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

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読んで下さり有難うございます。
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