第68話「会談」
俺は宮殿からレストランへと向かう為。
馬車に揺られていた。
英国女王が乗っているかのような。
豪奢な馬車では無く普通の馬車で向かっている。
それはあの馬車でレストラン街を走ると、
物凄く、目立つからである。
俺達がレストランに向かっている理由。
セバスチャンの依頼の話である。
そこでセナとレイとも待ち合わせをしている。
俺は肩にちょこんと乗ってるクロを撫で撫でする。
「よしよし〜クロ」
「にゃあ〜にゃあ〜」
クロは俺の頬をぺろぺろしている。
あ〜可愛い──
模擬戦の剣聖を一撃で屠った、黒猫。
俺はその事はあまり触れずにいた。
また、面倒臭い事になるからだ。
止めとこう。
それを見ながらルークは目を輝かせている。
「にゃあにゃあちゃん、本当に可愛いですね〜」
クロを見て目を輝かせているルーク。
俺はルークに疑問を持っている。
何故、また正面に座っていないのだろう。
横では無く、俺の膝の上にちょこと座っている。
頬をくっつけながら会話をしている。
何ともあざとかわいい姿だ。
だがこれはダメだ、注意が必要である。
「なぁ、前に座らないのか? 広いぞ!」
「ここじゃ、ダメですか?」
「流石に膝の上はダメだぞ!」
「ややです! ここがいいです! リーダー命令です」
ルークは赤眼の瞳でじっと上目遣いをして。
む〜っとした顔をしている。
まあ、もうすぐレストランに着くのだ。
仕方ない、今回だけだ。
俺は内心そう、思いながら諦めた。
「わかった。ここでいい」
「はい!!」
元気の良い返事をした後。
スリスリとくっつくルーク。
「そういえば! 円卓の騎士。
初めてのクエストだな〜リーダー頼むぞ」
「はい!! 気合いが入ります!
クランとして初めてのクエストですね!」
「あぁ!!」
「円卓の騎士って名前いいですね!
ギルドサイトで申請して変えてみます」
「いいのか? そんな簡単に変えて?」
「変えれるか分からないですが、気に入りました!」
「そうか!」
(やはり、タクロウ様は転生者なのですね)
俺達はレストランへと着いた。
入口にはセナとレイが待っていた。
「セナ、レイ、フェスティバルの申請ありがとうな!」
ニコニコしながらセナが言う。
「いいのだよ〜模擬戦は勝てた?」
「えっ!! ああ」
「圧勝でしたよ!!」
俺はセナのその笑顔を見て、確信した。
セナは模擬戦で連れてかれたと予想して。
それで行きの際──あんなニヒルな顔をしていたのか。
なるほど…………
レイがジト目でルークに告げる。
「ルーク、お兄様は椅子ではありません。
わかりましたか?」
ルークは目をうるうるさせながら俺を見ている。
レイは感でわかったのか……
ルークが俺の膝の上にちょこんと座って来たのが
仕方ない助け舟を出すか。
「レイ、たまたま、ルークは俺の膝の上にいただけさ。
たまたまだよ」
「じゃあ〜お兄様、私もたまたまお兄様の膝の上にちょこんとなるかもしれませんね。言質取りましたよ!」
「僕もたまたまするのだよ」
レイとセナはふふふっとニコニコしながら話していた。
そして、俺達はレストランへと入った。
そこにはリリーが座っていた。
その後にはセバスチャンが立っていた。
いつものようにリリーは俺を睨んでいる。
「遅い!!」
「ごめんごめん」
俺達はすかさず椅子にかける。
ルークが俺の膝を見てジーッとしている。
俺は諭しながらルークを椅子に座らせた。
全員が椅子にかけたのを確認して。
立っているセバスチャンが話を始めた。
「お忙しい所お集まり頂き感謝であります。
今回はダンジョン三十階層の先にある。
虹色ダイヤ入手の件でお集まり頂きました」
ルークがその話を聞いて、俺に質問する。
「三十階層まで行くのですか?」
「あぁ、そうみたい」
「何、そのちっこい子? 関係者かなにか?」
俺とルークが話している姿を見て。
リリーは睨みながら俺に告げる。
そうか、リリー達とルークは初対面だったな。
俺はルークに、
にっこりと微笑みながら言ってこいと諭した。
「私はタクロウさん、セナさん、レイさんが参加するクラン円卓の騎士のリーダーのルークです!
よろしくお願い致します」
「ふ〜ん」
最初はこんなちっこい子供なぜここに居るの?
とでも思いながら睨んでいたリリーだった。
だが、ルークの瞳の強さを見て。
わかったのだろう本当だってことを。
リリーもセバスチャンに諭されながら挨拶をする。
「お嬢様」
「ふ〜んまぁいいわ、私はララベア・リリー。
クラン珊瑚のリーダーよろしく」
「明日のフェスティバルは俺達が優勝するからな〜」
俺が煽る様にリリーに言うと、
珍しくムキッーとならずに普通に俺に告げた。
「何言ってるのよ 優勝は無理。
明日のフェスティバルは七色の十字のメンバーも少し参加するのよ! だから無理」
「そうなのか」
明日のフェスティバルは七色の十字も出るのか。
だどすると、あのカインも参加するって事なのか。
世界は狭い物で。
そして運命ってモノは意外な所にいつだって落ちている。
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