表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/107

第67話「出会い」

「なっ!! 急に何しやがる!!」

「アタクシに背を向けるとはいい度胸だ!」


 障壁で大剣は止まっていた。

 剣聖はニヤリと口元を見せながら剣に力を入れている。


 その凄まじい剣圧は言葉よりも早く──

 俺を逃がさないと言うのを全身に伝えてくる。


 俺はまた面倒事に巻き込まれたと諦め。

 立ち向かう意思に切りかえた。

 その攻防を見ていたルークは俺に告げる。


「褐色の肌をもつ人は狂戦士の一族が多いです!

 武器を持たせると最強の一族です。

 気をつけてください!!」


 剣聖は一旦後ろに下がった。

 大剣を持つ手を上げながらクルクルと大剣を回している。


 片手でなんて軽々持ち上げているんだ。

 この姿を見たら狂戦士の一族は納得だ。


 剣聖はまたニヤリとした口元を見せ。

 足をグッと踏み込み。


 砂埃を宙に舞いあげながら、

 切り裂くように俺に向かった。


 剣聖の大振りは魔力盾(シールド)によって、

 止まった。


「クソ! めんどくさい!!」

「これもこれも!!! 耐えるのか!!!!」


 剣聖は戦いを楽しむ様に、

 俺の出方を伺いながら、攻撃している。

 その攻撃は徐々に重くなっている。


 剣聖は口元が綻ぶ程に戦いが好きなのだろう。

 だが、剣聖は大剣を振り回しているだけなのに、

 俺は障壁を維持する魔力を取られていく。

 ──これが剣聖か。


「守るだけなのか? 見せてみろ!!

 見た事ない魔法を!!」

「穿て!!! 〝魔力盾(シールド)〟」


 雷を大剣で払うんだ──

 俺はそう思いながら魔法を唱えた。


 だが、剣聖は身体をスピンさせて軽々と避けた。

 なんて、動体視力なんだ雷を避けるとは……


 剣聖は笑いながら、

 もう一度、俺に剣を思いっきり、振りかざす。

 俺は魔法を唱えた。


「またか! 〝魔力盾(シールド)〟」

「ふふふっ! 楽しい! 楽しいぞ!!」


 剣聖の攻撃を障壁で止めた。


 障壁と大剣を合わせる中──

 剣聖が俺にだけ聴こえる声で告げた。


「なるほど、この障壁の強度と魔法のスピード。

 私の姉と戦って、無事とは納得がいく」

「姉?」

千血(せんけつ)だ」


 だから剣聖は俺と模擬戦をしたいと言い出したのか。

 この威圧感と深紅の赤髪はソックリだ。


 俺はルークが言った言葉と照らし合わせ疑問を浮かべた。

 ────剣聖が壮絶な殺気を俺に向けた。


「ほう、貴様も疑問に思うのか! 肌の色!!!」


 瞳は雄弁とはよく言ったものだ。

 何も言っていないのに……


 少しの表情だけで剣聖は俺の考えを読み取った。

 剣聖の地雷を考えてしまった。


 先ほどまでの威圧とは違う、殺気に息を飲んでいた。

 剣聖はもう一度下がり、

 勢いを付け地響きを立てながら、俺に向かう。


 俺はこの戦いをどうしたら止めれるのか──

 考えながら魔法を唱えようとした。



 ━━━━━━━━━━━━━━━刹那。



 スローモーションのように緩やかになった時間の中で──

 俺の肩からクロが唐突に現れた。


 ちょこんと座りながら──

 ────鳴いた。


「にゃあ〜」

「クロ!!」

「猫!!」


 鳴き声の後──

 剣聖の上から黒い球体の様なモノが現れた。


 その黒い球体から凄まじいGが剣聖にのしかかり攻撃する。


「──────グハッア!!」


 剣聖は指も足も瞼さえも動かす事が出来ない。

 Gに耐えていた。


 抗おうと目だけは見せているが、

 それを許さないGが剣聖を支配していた。


 その様相を見ていた文官達は悲鳴に近い。

 驚きの声を上げていた。


「王級闇魔法の重力圧(グラビティ)だと!!」

「剣聖が一切を動けない程のなんと!!」

「闇と光を両方を使えるとは聞いたことがない!!!」


 唖然としている俺。

 肩にちょこんと乗っているクロが再度──

 可愛く鳴く。


「にゃあ〜」


 クロが鳴き声を上げた。

 剣聖へのGが激化した。


 剣聖は何も出来ずに気絶をした。

 俺は肩に乗っている──

 クロをマジマジとみながら頭を撫でた。


「クロ〜よしよし」

「みゃあ〜」


 呆気に取られている俺と文官達。

 ルークが王女を睨みながら告げた。


「私達の勝利です! これ以上関わらないでください!!」


 デリラは妖艶な眼差しで見つめ立ち上がり告げる。


「よい! わらわは楽しみた。

褒美もやろう〜、馬車で帰るとよい〜」


 俺は文官に褒美を貰い。

 馬車へ乗り込むのであった。



 ---



「起きられましたか?」


 声をかけられ目を開けると白い天井が見える。

 ハッとして。

 アッシュはすかさず、身体を起こした。


「私は負けたのか!」


 起きて直ぐに出た言葉。

 少し驚きながらも、魔導師はアッシュの問に答える。


「はい、その通りでございます」

「そうか」


(私は一撃で伸されたのか? なんと……)


 目を輝かせていたアッシュ。

 魔導師にもう一度質問をした。


「ちなみにあの方はどうされた!!」

「もう帰られましたよ」

「そうか」


(なんとカッコ良く、颯爽に……

 今までに感じた事のない衝撃を全身に浴びた。

 これは運命だ! もう彼に仕えるしかない)


 俺の知らないところで一撃で伸された。

 アッシュが誓いをたてていた。


 俺はさっぱり知らずにいた。

 初めて感電に運命を感じながら、アッシュは誓ったのである。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感謝です。
読んで下さり有難うございます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ