第65話「宮殿」
俺は宮殿に向かう、馬車に揺られていた。
内心、とてもワクワクしていた。
初めて乗る馬車である。
俺が乗っている馬車はとても豪奢な馬車だった。
英国女王とか乗ってそうだな。
すごい、場違い感。
王女からの使者に促されて、
宮殿へ向かっている状況である。
そして、馬車に乗っているのは俺とルークのみで、
セナとレイはフェスティバルへの申請に行っている。
俺とルークは何故か客人として、宮殿に招待された。
セナとレイは揉めずに俺達を送り出した。
だが、セナの不敵な笑みが少し気になった。
もう一つ気になる事がある。
それはルークだ。
なぜ目の前に座らずに、
俺の横にぴとりとくっついて座っているのだ。
わざわざ、正面を開けて横に座っている。
「なぁ前に座らないのか? 広いぞ!」
「ここじゃダメですか?」
ルークは赤眼の瞳でじっと上目遣いで見ている。
その言葉と表情はずるいと内心ため息をつきながら、
そのままにした。
可愛────
ダメだ、ダメだ。
ノーロリタッチ。
カインの事もある。
宮殿に着く前にまだ少し時間がある。
聞くしかない。
「なぁルーク、クラン名はどうやって決めたんだ?」
本当は直接的にお前は転生者なのか?
と言った方が早いかもしれない。
だが、違った場合。
なんて切り替えしていいか分からずにそう告げた。
その問いにルークはニコニコしながら俺に告げた。
「クラン名ですか?
私のご先祖様のクランからつけたのです」
「そうなのか」
ご先祖さまのクラン……?
その言い方だと、ルークのご先祖様のクランの名前から、
とったと言う、意味合いだよな。
俺は頭をグルグル考えていた。
ルークは俺の表情に気づいてか話し出した。
「長いクラン名ですよね! 私も読めなかったんです。
でも、文献で翻訳されて載っていて。
カッコイイなぁって思って、それから付けたんです」
「読めなかったって、どういうことだ?」
ルークは徐ろにプラティークで文字を書き始めた。
それを見て──俺は驚愕した。
「これです!」
そこに書かれた文字は
『Knights of the Round Table』と書かれていた。
英語だ……
「なぁ、ルークはこれは読めないのか?」
「はい! 読めないです。タクロウ様は読めるのですか?」
「……いや、俺も読めない」
俺は少し理解した。
この世界に来て当たり前に会話をしていたが、
全て何語かわからない。
────文字も日本語に全て見えている。
それ以外がない……
いやでもおかしい…………
セナとレイは名前を呼ぶ時に、
RそしてSと話していた。
これは一体…………?
俺はルークに質問をした。
「なあルーク、王族って二十六人いるのか?」
「はい! 昔はそうでした。今は少し減っています」
「そうか」
「着きました、降りてください」
馬車が止まり、外から声が聞こえる。
騎士が窓越しから声を入れた。
もう着いたのか…………
まだ少し聞きたいことがあったのに……
そう思いながら、馬車を降りた。
俺は視界に写った光景を見て一驚した。
「……なっ!」
「はぁ〜綺麗ですね」
その目の前には荘厳で豪華な宮殿があった。
見て分かる。
この街を統治している人がどれくらい見栄っ張りか。
俺達はそのまま入口に入り、
大きな回廊を歩いている。
俺が呆気にとられていると、
文官らしき人が説明をする。
「この回路は長さ八十二メートル、幅は十六メートル。
そして天井高は十五メートルくらいあります。
宮殿内の部屋数は二千五百程ございます」
「そう、なんですか」
「凄いですね〜」
この文官は遠回しにこの街を統治している、
人は凄いですと言っているように話している。
──確かに豪奢だ。
イメージ通りのバカでかいシャンデリア。
なんて所に来てしまったんだ。
俺は何かやらかしたのか。
あぁ、少し怖くなってきた。
俺は文官に追従し歩き進んでいた。
「着きました、ここです」
そして、文官の先導を元に俺は謁見の間へと入る。
目の前にはイメージ通りの豪奢な王座。
その王座に座るのは青髪のナイスバディの女性だった。
俺は隣りにいるルークと同じ動作をし俯いている。
「表をあげよ。
妾は名はミルディア・B・デリラじゃ。
この街を統治している者である。
主が千血と戦っていたのだな」
「はい」
デリラは昨日の夜の事を言っているのか?
情報を知って、呼んだのか……
なるほど。
俺はまた、考えはじめた。
デリラは妖艶な微笑みを見せながら告げた。
「明日はフェスティバル、主も参加するのか?」
「はい」
「ほほぅ」
「でわ、余興である。模擬戦じゃあ!」
唐突に何言ってるんだコイツ。
我儘系、王女か。
めんどくさい。
俺はデリラに胡乱な眼差しを送っていた。
すると、後ろの扉から男が入ってくるなり。
大声で告げる。
「殿下!!! 至極光栄でございます!!
この模擬戦、勝って見せましょうぞ!!!」
「でわ、行こうとするか」
俺の返事を聞かず、
勝手に事が進んで、なった模擬戦。
まさか千血と戦った余波が、
ここまで来ていると思わなかったと感じていた。
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