第63話「クランリーダー」
俺は呆然としていた。
カインの思いもしなかった言葉に。
まさか、俺以外にも転生者がいたとは。
しかし、七人の一人?
どういう事だ。
全く分からない。
そうだ。
あの少年は大丈夫だったのだろうか。
俺は思い立って、先程の酒場へと向かう。
酒場に戻ろうとする途中で少年を発見した。
隻眼の女を追いかけてきたんだろう、
俺は直ぐに屋根から裏路地に降り立った。
──シュタッ。
「うわぁぁぁ!!!」
「あっ! すませない。
ビビらせるつもりはなくて」
目の前に突然。
人が現れたのだから、当然の反応だ。
しまったなぁ。
そう少しの後悔をしながら少年の顔を除く。
先程の目の鋭さはなく普通の少年の姿だった。
いや……じっくり見ると──
金髪赤眼の髪はミディアムで顔がかなり整っている。
将来百%イケメンになる逸材の子だった。
先程のカインとかいう奴にしろ美形が多すぎる。
金髪イケメンはモテるからな……
はぁ……
いや、そうじゃないなくて。
「その……先程はありがとうございます」
「いやいや、たまたまだよ」
少年は深々と頭を下げて俺にお礼を言った。
そうか、この子はきっと、
隻眼を探していた訳ではなく。
俺に礼を言う為に、
探し回っていたのだろうと感じた。
少年は唇をキュッと結び、
沈んだ表情を見せながら、話をはじめた。
「あの急ですが……
僕のクランに入っていただけませんか?」
「いいよ」
「そうですよね。
急に内容も何も言っていないのに、断られるなんてわかっています。
でも、どうしても、僕には叶えたい事があるのです。
────えっ!!」
「──えっ!!!」
俺が即答したので──
そのまま少年は話し続けていた。
俺の返答を理解して、驚愕している。
────ビビった。
急に大声出すんだから。
少年は瞬きもせず。
何言ってるのこの人って顔で俺をずっと見ていた。
「────ふええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「────えっ!!!!!!」
いきなり少年は泣き出した。
声を上げて。
子供が本当に泣くように、
いや違う……この子は本当に子供なんだ。
あの時がとても、無理をしていたんだ。
何かに吹っ切れたように、
少年はずっと泣き続けた。
俺は優しく声をかけるが、
少年はずっと泣き続けた。
傍から見たら、
夜の裏路地で少年を泣かしている。
ヤバいやつだろうなと思いながら、
俺は少年を宥めていた。
「大丈夫か?」
「はい……もう大丈夫です。
急に泣き出してしまって、ごめんなさい」
「気にするな」
少年の瞳にはまだ涙が残っている。
クズんグズん、鼻を鳴らしいてる。
だが、先程よりは落ち着いた様に見えた。
「その……クラン」
「あぁ、入る」
少年は消え入りそうな声で、
俺に──再度問う。
「本当にですか? 僕がリーダーでも、ですか……?」
「あぁいいよ! 決めたから」
その言葉でまた少年は瞳を潤せようとしている。
それを見て、俺は慌てて告げる。
「入るからもう泣くな。
この時間にこの場所で泣かれると、
ヤバい奴だからなぁ? 頼む」
「んっ──ぐっ、わかりまじた」
「ごめんな」
少年は泣きそうなのを我慢して返事をした。
俺は頭を優しく撫でた。
---
そうだな……俺はこの子の事を何も知らない。
とりあえず名前を聞くことからだろうな。
「俺の名前はタクロウって言うんだ。
もし、よければ君の名前を教えて欲しい」
「僕の名はルークと言います。
よろしくお願いします」
「あぁ! よろしくな」
また少年は深々と俺に頭を下げた。
「家とか帰らなくていいのか?」
「……あぁはい。今日は両親は出かけていて」
少年は初めて、俺から目を逸らした。
まあ──あの状況だったのだから……
何かしら事情があるんだろう。
少しセナに似ているな。
わかりやすい。
「じゃあ、俺が泊まっているホテルに行くか?」
「その……何も聞かないのですか?」
「聞いて、欲しいのか?」
「いや──そういう訳ではなくて……その」
「話せる時が来たら、話せばいい」
その言葉で少年は唇を噛みながら、
俺を見つめていた。
そうか!
──しまったな言い過ぎた。
泣くなっと言ったから、
それでその行動をしているのか。
俺は慌てて少年に告げる。
「この場所じゃなければ好きに感情を出していい。
さぁ行こう」
「……はい!!」
俺は少年を背負いながらホテルに向かう。
少年は──かなり軽かった。
そして、ホテルへと続く浅橋を渡る。
「こんな綺麗な場所に泊まられているのですか?」
「いや〜俺もびっくりしているよ」
「みゃあ〜」
「その猫ちゃん可愛いですね。にゃぁ〜にゃぁ」
俺はハッと気づいた。
あれ…………?
クロは戦闘中から、肩に居なかった。
ルークに言われるまで気づかなかった。
そういえばそうだ。
クロは俺の頬をぺろぺろ舐めている。
まぁ、いいか。
「みゃあ〜」
「よしよし、いい子いい子〜」
俺はホテルに戻り。
ボロボロのルークの服を着替えさせようとしていた。
「とりあえず、シャワー浴びて着替えるか!
俺の服だけどいいか?」
「わかりました! ありがとうございます」
「はいルーク万歳して! 脱がせるから」
ルークは万歳していた。
そして俺はルークの服を脱がせようとした。
「何してるのだよ」
「お兄様」
レイとセナの初めて聞く恐ろしい声色。
俺はその声の方へと視線を転じると、
セナとレイは俺をじとって見ていた。
俺は直ぐさま言葉を入れる。
「シャワーを浴びせようと思ってな」
「お兄様、ロリコンなんですね……」
「僕もそこまで年下が好きだと思っていなかったのだよ」
えっ……何言ってるんだ二人はと思いながら。
ルークを方を向きマジマジと見つめる。
俺の瞳を見ながら告げるルーク。
「僕、女ですよ」
「────ぇぇええええええええええええ」
俺は衝撃と共に理解した。
これは完全に犯罪だと思いながら叫んだ。
フェスティバルまで後二日。
重なる生い立ちがどうこれからをどう思いながら──
成長をしていくのかまだ俺には分からなかった。
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