第61話「赤髪隻眼の女」
俺はレストランを離れた後、一人なった。
セナとレイは明日の作戦会議があるからと言い。
そそくさと何処かに行ってしまった。
俺はその間にクランの名前を決めて欲しい。
指令を受けた。
まあ今回は一人じゃなかったな。
俺はクロを優しく撫でる。
それに擦り寄るようにクロはスリスリしている。
「よしよし、クロ」
「にゃあ、にゃ〜」
本当に、この黒猫は大人しい。
何処かにふらふらする事もなく。
俺の方に常時、俺の目の範囲が届く距離にいる。
「まぁ、時間があるし、海でも見に行くか!」
「にゃあ〜」
俺はリスブン街の目先のランギ海へと向かう。
中世の街並みのような重厚な石造りの建物を抜ける。
視界がだんだんと広がっていく。
その先には青い空とエメラルドグリーンの海が織りなす、
ランギ海ならではの美しい景色が待ち受けていた。
「うわぁぁ綺麗だな〜なんだこれ!!」
「にゃあ〜」
「海は綺麗だな〜クロ!」
前世でも一度も見たことが紺碧の海。
ヤシの木見たいな木の間には、
観光客向けのハンモックが沢山あり、
俺は直ぐにハンモックに横たわり、ゆらゆらした。
「でも、おかしいな〜人っ子一人いない。
こんな綺麗な海なのにどうしてだろう?」
「みゃあ〜」
見渡すと観光客どころか、人通りもいない。
おかしいな〜と考えながらも自然に身を任す。
俺はフェスティバルの内容がさっぱり分からなかった。
あの後、プラティークでサイトから調べようとしたが、
セナとレイに「お楽しみ、ふふふっ」と言われて止められた。
そんなので勝てるのかと思いながら、
俺は空を眺めている。
俺の胸にはクロがちょこんと乗っている。
可愛なぁ。
そして、ウトウトしながら、ゆらゆら揺られていた。
---
誰かに頬をちょんちょんされて、俺は目を開けた。
「お兄様、大丈夫です?」
「爆睡だったのだよ〜」
「う〜ん、ごめん、寝てた」
目の前は、
にっこりと微笑んでいるセナとレイの姿があった。
俺はセナの修行。
ムーンマウンテンの疲れか、
そのまま眠りについてしまっていた。
辺りを見渡す、といつの間にか火店し頃になっていた。
「宿は取ってあるから行くのだよ!」
「お兄様、行きますよ!」
寝惚けている俺を、
ハンモックからセナとレイは両手を引っ張り、
連れて行かれる。
そのまま両手を引っ張られながら歩いている。
「なっ!! こんな所なのかな?」
「はい、お兄様 今日は前前夜祭です!」
「そうなのだよ!!」
俺の目の前には、
いつものギルド提携酒場付きの宿泊施設ではなく。
完璧に水上ヴィラがあった。
海の上に幻想的なホテルが佇んでいる。
「お兄様行きますよ〜」
「あぁ、すごいな」
「修行、頑張ったから、ご褒美なのだよ」
俺達は海をかける浅橋を歩き向かう。
まるで海の上を歩いているような、
感覚に陥るほどに海が近い。
「ここが、そうなのさ?」
セナとレイはこくりと頷いている。
そこは海の景色を一望できるテラス。
広々としたベッドルームからは開閉式の天井から、
美しい星空を眺められるようになっている。
俺達はヴィラで食事を楽しんだ。
そして、ベッドへ向かう。
セナとレイはベッドに着くやスース寝てしまっていた。
俺と同じで疲れていたのだろう──
俺はそっと、酒場に行こうとした。
クロを見つめニヤリしながら俺はヴィラを後にした。
「クロ、行くか!」
「にゃあ〜」
せっかくなら、
ギルド提携酒場に行ってみたいと思い向かった。
外は昼間の喧噪はなく。
とても静かで波の音が海から、
離れているのに近くにいるみたいに響いている。
「確か、魚群丸だったよな名前」
ライトアップされている綺麗な白い街を抜けて、
目的地へと向かう。
酒場の外には人の群れができていた。
それは明らかに中で何が起きているという知らせ。
俺は直ぐさま酒場の入口から中を覗いた。
「──なっ!!!」
そこには白い肌の赤髪赤眼の女が、
子供の腹を何度も、何度も蹴っている。
子供の口からは血がこぼれ、
それなのに容赦なく蹴り上げていた。
蹴られている子供は、呻き声さえもたてていない。
俺は酒場内に入ろうとした──
「僕は諦める訳には行かないんだ!!!!!!」
傍から見ても完膚なきまでに叩きのめされている子供。
だが、その子供の叫びは、
体をビリビリと衝撃が走る、意志の強い叫びであった。
三十人弱いる大人達は、
苦虫を噛み潰したようにその場をずっと見つめている。
大人達は手を出せないんだ。
なんだよ、この光景は!!
その叫びを聞き、赤髪赤眼の目付きが変わる。
また、子供を蹴りあげようした。
──俺は瞬時に魔法を唱えた。
「させねぇ──〝魔力盾〟!!」
その子供を守るように障壁を張る。
赤髪赤眼の女はそれに気づき俺の方に目を向けた。
その姿は片目を黒い眼帯をしていた。
片目で鋭く睨む、眼光。
物珍しげに見つめながら、俺に告げる。
「ほおぅ、私の邪魔をする奴がいるのか」
「悪いけど、見てられなくてね」
それを見てその場の酒場の烏合の衆が、
俺に次々と声をかけてくる。
「あんちゃん、すぐにこの場から逃げろ!!」
「死ぬぞ!!!」
「相手は千血だぞ!!」
「早く逃げろ!」
周りの大人達のサイレン。
表情と声色でコイツが、
とてもヤバいやつだと直ぐに分かった。
酒場にいた人達が手を出せなかった理由……
──なんて殺気を放っているんだ。
「私と対面して臆くさないとはいい度胸だ」
その女は酒場から俺に向かって悠々と歩く。
大人達は後退りしながら道を作る。
それに気づいて、酒場内にいた人たちは──
子供にヒールで回復をさせている。
俺は獰猛な笑みを見せながら、告げる。
「悪いが、あんたより殺気を放つ女にはあった事があるんでね〜 余裕だ」
「減らず口が!」
俺はこの酒場での戦いから運命が──
噛み合っていくとは思ってもいなかった。
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