第60話「受諾」
「ぐぬぬぬぬぬ!!! なんだと!!」
リリーが地団駄を踏みながら俺を睨んでいる。
俺を睨んでも仕方ないだろう……
セナとレイは捲し立てるようにリリーに言う。
「お兄様! なぜ、この人達の依頼を!!」
「そうなのだよ! 戦なのだよ!!!」
「ぐぬぬぬぬぬ そこまで言われるなら。
ぬっ殺してやる!!」
セナとレイがリリーに対して、
言い合いになっている。
リリーのツインテールがぴょんぴょんうねっている。
あのツインテールは感情を表す能力があるのか?
俺は静かに見守っている。
セバスチャンの方に目を向け、告げる。
「セバスチャン、ソノとピケは?」
「お二人は少し買い物に出ております」
「なるほど」
喧騒の中──
俺はゆっくりセバスチャンに告げる。
「俺はセバスチャンの依頼を受けようと思う。
虹色ダイヤの件」
「なんと!!! 受けていただけるのですか?」
「「「えっ!!!」」」
セナとレイとリリーが同時に反応する。
喧騒がピタリと落ち着き。
三人同時に俺の方に目を向けている。
「お兄様──反対です! この人の依頼なら嫌です」
「僕も嫌だね! それなら違うクランと組んで。
ダイヤ取りに行こう」
「まあまあまあ。セナ、レイ受けよう。なぁ?」
俺はセナとレイの瞳を見て言う。
「まあ、仕方ないのだよ」
「お兄様が言うのならば」
「ありがとうございます」
レイとセナは俺の意思に優しく折れてくれた。
セバスチャンは俺とセナとレイに会釈をした。
(このお二人は。シフォン・S家とアルベルト・R家のご息女。
何故ここに? タクロウ様は一体どの様にしてお二人と?)
セバスチャンは予想よりも早く返答をくれたので、
意表をつかれていた。
俺はリリーとセバスチャンに同行する理由を告げた。
「セバスチャン、リリー。
俺は母親に虹色ダイヤを渡したいんだ。
最近、新しい命を授かって。
そのダイヤの意味に肖りたいんだ」
二人はその言葉に目を奪われ、表情が少し変わった。
リリーに至ってはわかりやすい。
あんなにぴょんぴょん跳ねていた、
ツインテールが大人しくしていた。
「えっ……そうなのか」
「そうなのですか」
(これも運命のイタズラと言うのか? シルビィ……)
リリーはそのまま鎮まり、
無言の睨みをして口を開く。
「ふ〜ん。それなら頑張らないとね」
「あぁ」
リリーはその後、俺と目線を合わせなかった。
「私は用事があるから」
「でわタクロウ様。詳しい内容は後ほど──ご連絡させて頂きます」
リリーが呆気なく去って行ったので、
セナとレイがキョトンとしている。
セバスチャンは俺達に会釈をして
リリーの元と追従していく。
なんか、まずいことを言ってしまったかな。
あんなリリー初めて見る。
その雰囲気を感じ、セナとレイは声をあげた。
「お兄様! フェスティバル勝ちますよ!」
「そうなのだよ!!」
「──あぁ!」
俺達はカウンターへと向かい、
フェスティバルの話を聞きに行く。
カウンターに着くと、女性のギルド職員が応対をした。
「フェスティバルへの参加ですか?」
女性のギルド職員は事務作業の様に淡々と話してる。
それにセナが答える。
「はい! 今回のフェスティバルの報酬を聞きたくて」
「わかりました。
優勝者の報酬は水龍のレプリカです。
そして二位、三位も副賞がございます」
「いつまでに参加申請をすればいいのでしょうか?」
「明日の明朝までに、申請していただければ参加可能です」
「ありがとうございます」
祭りか、なんかかな?
それにしてもこのギルド職員は真顔だな。
セナはニコニコとしながら話を終え。
俺とレイは隣で頷きながら聞いていた。
セナは直ぐさまその場を後にしようとする。
「じゃあ行くのだよ!」
「はい!」
「いいのか? セナ申請しなくて」
「まずは腹ごしらえするのだよ」
俺達は清流が見える、
レストランで食事を取っていた。
水の音が心地よく風がとても涼しい。
「クロ、マダイ食べるか」
「にゃあ〜」
「そうかそうか、美味しいか?」
俺はクロを撫で撫でしながら、
落ち着いた雰囲気を過ごしていた。
レイがセナにフェスティバルの事を聞く。
「セナ、フェスティバル申請しませんの?」
「今日はしない方がいいよ!
フェスティバルはクランじゃなければ参加出来ないから。
そのクラン名を一日考えてもらうのだよ」
「なるほど、焦らずゆっくりですね」
「そうなのだよ!
後は今回のフェスティバルの下準備をした方がいいと思ってね」
「「ふふふっ、ふふふっふふふっ」」
レイとセナはかなり熱が入ってるみたいだ。
怖い顔でふふふっって笑っている。
それはリリーだろう、
向こうも参加しているからな。
俺は聞き耳を立てながら、
クロと一緒に食事をいている。
「にゃあ〜」
「マダイ美味しかったか? 塩分が少ないとこだけな」
「にゃにゃあ〜」
美味しそうに平らげた後、
クロは俺の手をぺろぺろしている。
「俺の手は塩分ないからな〜可愛いなぁ」
ここのレストランはかなりレベルが高い。
清潔感が溢れる白を統一としたテラス。
このマダイのムニエル。
焼いた小麦粉のカリッとした食感。
魚のジューシーな身が新鮮さを物語っている。
だが、このレストランを訪れて、食事をし、感じる。
母親の料理のレベルの高さを噛み締めていた。
まあ……そんなこと言っても。
ここのお店はいいお値段したからな。
一人頭、三万五千ペルだ。
高級すぎる……
セナとレイは会話を続けている。
「セナあれだとお兄様。
きっとクラン名と黒猫団とかにならないですか?」
「そうかも、しれないのだよ」
ふふふっと笑いながら、
レイとセナは会話を楽しんでいた。
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────謁見の間。
広大な豪奢な空間に二人は会話をしてる。
「こっこのようなこと本当によろしいのですか?」
宰相は表情を崩しながら告げる。
相手にしているのは蒼髪赤眼の美しい顔立ちをした王女。
ミルディア・B・デリラだ。
妖艶な笑みを見せながら、宰相に直ぐに問う。
「妾に異を唱えると?」
「いえ、そうではございませんが……
精巧なクリスタなどと、そのような話をされては」
デリラの威圧で目を向けられない。
宰相は俯きながら、デリラの言葉を聞いている。
そのまま、流されるままに──
「盛り上がるであろう? 妾は退屈をしてるだ。
クリスタはもう、準備しておる」
「そっ──それならいいのですが……」
「どうせ、優勝も誰か決まっておろう」
「あぁ、確かにその通りですね」
セナとレイと俺はクランを黒猫団しようとしていた。
その時までは…………
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