第59話「水の都」
────リスブン街。
「「「いらっしゃい! いらっしゃい!!」」」
街に入るとやけに活気があり。
観光客もかなり多い。
ここぞばかりに店のスタッフが、
自店の前で客引きをしている。
「いらっしゃい!! 大海老のムニエルいかがかね〜」
「いらっしゃい!!! 大イカのアローシュもあるよ」
街に入り目の前に広がる光景。
新鮮な魚介類を売りにしている沢山の露店が目に映る。
氷の上に新鮮な魚たちが置かれ、
屈強な男達が声を上げながら、手引きをしている。
「すごいな!! 魚がいっぱいだ!」
「はい、お兄様! 海がすぐ近くにありますからね」
「いっぱい腹ごしらえするのだよ!」
潮の匂いがする。
本当に海が直ぐ近くにあるんだと実感させる。
俺はこの世界に来てまだ海を見た事がなかった。
石畳の街には真っ白い壁の家が並び、
その景色は絵本のように優しい。
まるで屋根のない美術館だ。
街の中には綺麗な水路があり、
それは海へと続いている。
「あとでいっぱい、新鮮なお魚食べような」
「にゃあ〜」
俺は肩にちょこんと乗っている、
クロを少し撫でる。
俺達は広場へとりあえず向かう。
所々に小さい橋と噴水がある。
俺はキョロキョロとさせながら、ある場所を探していた。
「とりあえず、先ずは教会だな」
「お兄様! この街には教会はありません」
「そうなのだよ!」
「そうなのか?」
確かに周りを見渡しても、教会らしきものが無い。
セナが俺の疑問に言う。
「ここは市場やレストランや騎士団の施設が多いのだよ」
「なるほど」
「はいお兄様! 白い街並みの上の方にはお城があるのです」
────海と反対側の小高い丘の方。
そこには団長の邸宅と行政府が設けられている。
その先には城壁があり大きなお城が構えられている。
「ほう! あれがそうなのか遠くから白いお城が見える」
「はい、あのお城はミルディア家が住んでいて。
この街を統治しています」
「なるほど」
「そうなのだよ!
そして、ここは水の神アルテウス様を祀ってる街なんだ」
「総本山、見たいな感じか?」
「う〜ん分家みたいな感じです。お兄様」
水の神様アルテウス様ね。
シルビアみたいな者かな。
俺達は話しながら進んでいき、
広場へと着いた。
沢山のレストランが椅子を並べている。
そして、多くの人が行き来していた。
丸い広場はとても広く。
真ん中には立派な銅像が立っている。
「あの銅像は一体なんだ?」
広場の中心には、
綺麗に大切にされた三メートル位の銅像がある。
その場所は多くの人が、
その周りを待ち合わせ場所として使っている。
「これは三大英雄の一人。水のライア様です」
「この人が英雄さんなのか?」
「──はい!」
その銅像は凛々しい男が杖持ち右手をあげている。
それを見て俺は言う。
「この人は何の英雄なんだ?」
「ライア様は世界を救った。英雄なのだよ」
「世界を救った? なんかあったのか?」
「知らないのだよ! 昔から伝承はされているのに、何から救ったのかはわからないのだよ」
「そんなことあるのか?」
レイが真剣な顔をして俺に告げる。
「お兄様、私とセナは王族です。
しかし、三大英雄様が何から世界を救ったか全く記されていないのです」
「それなのにこの人は英雄なのか?」
「はい、それは神託があったからです。
神様から昔ですが……ただ、それだけで人々は受け入れています」
「あぁなるほど。水のライア様ねぇ〜」
俺はその銅像を見つめていた。
RPGのように魔王とか居て、それと戦ったとか?
それなら、世界を救った勇者とか?
俺はその銅像を見ながら考えていた。
セナが俺を見て告げる。
「また考え事? 行くのだよ〜」
セナは俺の左手を握り、連れて行かれる。
「行くって、何処に行くんだよ〜」
「お兄様! ギルドですよ」
「そうなのか」
俺は言われるがまま追従して行く。
大聖堂みたいな外見のギルドの前に着いた。
そのギルドはバカでかく。
街の外からでも単塔式の尖塔が見えていた。
ギルドは尖塔の高さ実に百五十八メートル。
ギルド自体も、全長百十三メートル。
天井高四十五メートル、面積五千㎡もある。
外から見ていても圧倒された。
セナが徐ろに俺に告げる。
「もう少しでリスブン街はフェスティバルなんだよ!」
「そうです! お兄様。
どういうのが開催されるか目で見てみましょ」
「あぁそうだな〜」
俺は何のことかわからないが返事をした。
ギルドに入るとその中にも水路が流れていて、
職員が居るカウンターの後ろ全面には滝が流れている。
石で出来たギルドは刺繍細工のようで、
巨大ながらも繊細な印象を与え、
あまり石の重々しさを感じさせない。
「すごいな、これは〜」
「はいお兄様。この街は芸術の街でもありますからね」
俺達はギルドカウンターへと向かった。
そこには見覚えがある姿が目の前にいた。
──目が合う。
「タクロウ様! ここで出会うとは何かのご縁ですね」
「セバスチャン! 久しぶり!」
セバスチャンはその目を見て目を据えた。
(数日前に合った際と違って。
目に曇りがない……この数日間で何が彼を?)
セバスチャンの隣には、
金髪ツインテールのリリーが居た。
弄りがいがある奴を見つけたような顔をしている。
「ふ〜ん、ヘンナムシもフェス──」
「ヘンナムシって誰の事を言っているんですか???」
レイが珍しく会話を遮って話す。
その姿を見るとゴゴゴゴゴゴ!!!!! ってしている。
如何にも直ぐにでも飛び出しそうな雰囲気だ。
こんなに睨んでいるレイを見るのは初めてだ。
「セナ! レイが!!」
俺はセナの方に視線を転じると、
セナも鋭い目つきを見せながらリリー睨んでいた。
同じか──!!!!!!!
「「「この勝負!!!! 受けて立つ!!」」」
レイとセナの大声がギルド内に響いた。
この度は、読んで下さり有難うございます。
皆様の評価とブクマが励みになっております。
今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。




