表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/107

第56話「自由な発想」

 俺は岩石魔人の群れに複数の障壁を展開させた。

 障壁にぶつかる岩石魔人。

 そのぶつかる音は圧倒的な物量を言わせていた。


「なんて数だよ! これ!!!」


 弱い魔物なのに────



 だが、群れを対処する魔法は俺にはない。

 こんな大群いるのかよ。

 クソっ。


「しょうがないなぁ〜僕が殲滅するよ」


 セナはニッコリと笑みを見せながら、魔法を唱えた。


「〝雷閃光(ライトニングボルト)〟」


 ──バチバチと鳴る。

 複数の電閃(でんせん)が岩石魔人の群れを、

 一瞬で殲滅をしていく。


「────なっ!!!」


 セナが俺と同じ派生魔法の雷魔法を使った。

 その地雷(じがみなり)に圧巻されていた。


 セナはもう、俺と同じ雷魔法を習得したのか。

 しかも、俺の雷魔法よりも火力がある攻撃をするなんて。

 すごい、セナ。


「えっへん!! すごいでしょ」

「セナ、流石だ!!」

「僕はお師匠だからね〜えへへへ」


 俺は驚きと尊敬からセナの頭を撫で撫でする。

 レイはそれを見て、少し睨みながら言う。


「セナ! 修行のために手を出さないって約束していたのにずるい!!」

「ふふふっ、僕がタクロウを守ったのだよ〜」

「む〜」


 ポコポコ、レイがセナを叩いている。

 微笑ましい姿だ。


 だが、あの数を一瞬で殲滅する魔法。

 いや、本当にビビった。


「セナは雷魔法を使えたのか?」

「うん! 練習したのだよ!

 君は自由な発想が出来るのだから臆すること無く、するといいよ! ダメなら僕が助ける!」

「私もです。お兄様!!」

「ありがとう!」


 俺達はそのまま先へと進んでいく。

 先程まではセナが先導していたが、

 今はレイが先導をしている。


 そこにはまた三体の岩石魔人がいた。

 レイは少し目をキラキラさせた。

 俺は──魔法を唱えた。


「〝雷閃光(ライトニングボルト)〟」


 三体の魔物は消滅し、

 それを見てレイは瞳をうるうるさせている。


 しまっ────た。

 つい、倒してしまった。


「お兄様、その……」

「レイ、よしよし〜」

「お兄様〜」


 俺はレイの頭をなでなでした。

 レイはニコニコした顔に戻った。

 可愛いな、レイ。


「もう完璧に使えたね! 僕の魔法!」

「これ、すごい魔法だな!」

「あの時の戦いのイメージからだよ!」

「そうか──天使とのか!」

「うん!」



 固定概念。

 それは全ての人に少なからずも植え付けられている。

 この世界にはずっと続いている魔法の歴史がある。


 元々ある魔法を使わず、自分のイメージだけで魔法を作り上げる。

 それをする人は──この世界では稀である。

 考える者がいたとしても、使える可能性はほぼ零に近い。

 イメージがあったとしても使えないのが殆どである。


 俺はなぜたまに完成するのか、

 さっぱり分からなかった。



 俺達は二階層のフロアを順調に抜けていく。

 俺は新しい魔法のお陰で、

 体力をあまり使わずに殲滅できていた。

 そして、三階層への階段に着いた。


「おお! やっと着いたな」

「お兄様、そうですね!」

「えへへ、僕の弟子はすごいのだよ〜」

「ありがとうなセナ」


 三階層への岩の階段を登っていく。

 一階層から二階層への階段より、かなり段数がある。


 階段の左右には綺麗な鉱石が、

 ビッッシリと(あらわ)になっている。


 様々な色合いの鉱石がだったが、

 上に進む程に一色の色に統一されていく。

 不思議だ。


「綺麗な階段だな!」

「お兄様。足元をお気を付けてください〜」

「ありがとう!」


 そして、三階層に着いた。

 目の前に広がるのは、

 透明の鉱石だけが辺り一面に広がっていた。


 上を見上げると、

 蒼天(そうてん)が広がっている。


 吹き抜けだ。

 まさか、山の中で空が見えるのは思わなかった。


「うわぁ!! すごい!!! なんて景色だ…………」

「お兄様、本当は夜に来ると綺麗なんですよ!」

「そうなのだよ!

 お月様の光が鉱石に広がって綺麗なんだ!」

「また一緒に行こう!」

「はい!」

「うん!」


 月からの光でこの鉱石が照らされると、

 どんな表現をするのだろうか。


 自然の美術館だな。

 これは。


 ずっと見惚れていると、

 蒼天の空を飛んでいる、魔物が見える。

 俺はそれを凝視した。


 いや、まさかな。

 そんなことが、あるのか。


「あれは、ビニ町にいたワイバーンか?」


 レイはその問いに答える。


「あれはモドキです!」

「さっきは僕が殲滅したから、あの魔物倒すんだよ!」

「あぁ、わかった!」


 空から鳴り響く雄叫びは不思議と俺を奮い立たせていた。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感謝です。
読んで下さり有難うございます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ