特別編「クリスマス」
今日はクリスマスだ。
前世ではぼっちが孤高を極める、
修行の日で有名だった。
俺は異世界のせっかくのクリスマスというのに、
何故か樵になっていた。
「ふふふっ、今日は稼ぎ時なのだよ!!」
「お兄様! 一緒に頑張りましょう」
「いやいや!!
イヴにツリーのための木を切るって今更遅くないか?」
張り切って、ニコニコしているセナとレイに俺は言う。
「お兄様!!
駆け込みツリーと言われるのがあるのですよ!!」
「そっそうなのか?」
俺は前世では孤高の修行をしていて。
その単語は──初めて耳にする。
いや、もしかしたら、
リア充には、これは当たり前の言葉なのかもしれない。
俺達は幻想の森にいた。
こんな夜に何が悲しくて、
イヴに樵をしているのだろう。
「でもセナ、レイ、この森の木は勝手に切っていいのか?」
「ちゃんと許可は貰ったのだよ!」
「はい、お兄様!」
レイとセナがニヒルな顔をする。
俺は再度告げる。
「こんなでかい木いるのか? もうちょい小さい方が──」
「ちゃんと許可は貰ったのだよ!!」
「はい、お兄様!!」
レイとセナがニヒルな顔をする。
俺は再再度告げる。
「やっぱり家に入る大きさくらいのが好まれるのでは?」
「ちゃんと許可は貰ったのだよ!!!」
「はい、お兄様!!!」
ダメだ──ニコニコにしている。
これがクリスマスか。
恐ろしい。
俺の話を聞いていない。
「とりあえず俺が良さげな木を探してくるから!」
俺は一人でとりあえず木を探して周る。
物凄い音が夜の森に響いた。
「まっ、まさか!!!!!」
俺は走って──
その音がした方へと向かう。
「レイ! セナ!! そっそれは」
目にした光景──
セナとレイが大きな一木を攻めていた。
「僕の双剣で倒れないとはなかなかの強度だね!」
「セナ! 確かにそうですね!!」
「──いや!! まっまて!!!!!」
セナは双剣をクロスして構え、
武技を唱えた。
「〝蓮華〟!!!」
「──────らめえええ!!!!!!」
大きな一木が倒れた。
「セナ! レイ! こんなデカい木……誰が使うんだ!!」
「依頼なのだよ!」
「はい、お兄様!」
レイセナがニヒルな顔をする。
俺は再度告げる。
「こんなデカい木を装飾するのか?」
「依頼なのだよ!!」
「はい、お兄様!!」
レイとセナがニヒルな顔をする。
ダメだ──ニコニコにしている。
これがクリスマスか。
恐ろしい。
俺の話を聞いていない。
「わかった! わかった!! 依頼だな! よくやった!」
俺は思った。
こんなバカでかい木。
誰が必要とするんだ。
きっと頭が悪い貴族かなんかだろう。
徐ろにレイがプラティークで電話をする。
電話は依頼人か?
「もしもし、今からブツを送ります」
レイは依頼人にアイテムを送る。
「ふふふっよくやったのだ!
少し確認するから待っていろ!!」
電話の向こうから聞こえる声。
聞いたことがあるような声だった。
「切ってもいいですか?
これ以上話をしているとヘンナムシが移りますので」
「なっなっなんだと!!!」
「きっと、貴方はサンタさんに成長を願ったりするのかしら?
でも残念、サンタさんはプレゼントを送るだけでそのような効果はないのよ」
レイが珍しく電話越しに毒舌をはいている。
「──ぬぬぬぬぬぬ!!!! ぬっ殺してやる!!!!」
俺は理解した……
あぁ…………
わかった。
リリーかわかりやすい。
「ふふふっ嘘ですよ。メリークリスマス、リリー」
「まぁ今日は許す。メリークリスマスだレイ」
俺達は依頼が終わり。
幻想の森から家へと帰る。
セナとレイは満足そうにニコニコしている。
俺は玄関を開ける。
「おかえりなさい!!!!!!」
「おかえりなさい〜」
「……」
クリスの馬鹿みたいな大声とスズハの優しい声。
家の中を見渡すと装飾された、いつもと違う風景が広がる。
「なんだこれ……すごい!!!」
セナは優しく俺をニッコリと見つめている。
「お父様! 依頼のものです」
レイはアイテムボックスから先程の報酬を出した。
アイテムボックスから出たのは──
二メートル位の玉樹だった。
俺はその木に目を奪われた。
「なんて──美しい木だ」
「装飾するのだよ!!」
「お兄様! 早く! 早く!」
「ぉおう!!」
俺は今わかったような気がした。
子供の頃なぜ──
サンタなんかを信じていたのか。
それはきっとこのわくわくが、
そう──期待させたのかもしれない。
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