第54話「攻撃」
セナが面をくらっている、その隙に、
俺はセナの剣を掴もうとした。
────左手の紫電で。
セナはハッとして気づき、
直ぐさま、後ろへと下がり距離をとった。
だが、俺は追撃をする。
俺は光の派生の雷魔法を唱えた。
「逃がさない!!
〝雷道〟」
高速移動で一瞬にして、セナの後ろに着いた。
俺は左手でセナの背中を触ろうとする。
紫電を纏い。
だが、後ろを取られた事を気づいたセナ。
なんて、反応速度だセナ。
おかしいだろ。
そのまま、セナは一瞥して魔法を唱えた。
「──はっ!!〝魔力盾〟!!」
俺の左手はセナの障壁で止められる。
セナは錐揉みして、
デュランダルで俺を攻撃しようとする。
俺は右手でデュランダルを掴もうとした。
次は右手の紫電だ。
これなら躱せないだろセナ。
「──なっ!!!!!」
俺は手を伸ばした。
なぜか柔らかい感触に俺の右手の雷が消えていた。
あれ?
おかしい。
ふにゃふにゃする。
柔らかい。
「────ひゃあああああああああああ!!」
セナが叫ぶ。
俺は視線を転じる。
それを見た、俺は目が据わった。
「なっ!! そのこれは!!」
「こっこれが! 弟子の新しい魔法の胸揉み!!!」
なんだよ、その魔法。
誰得だよ!
いや、俺得だった。
違う。
「ダッ断じて違う!!!!」
「まっだ右手が動いてるぅ──んっん まっ参りました!」
俺は高速で右手を戻した。
レイは目を光らせながら、一部始終を見ていた。
いや、わかる。
わかるぞ。
レイの目線が痛い。
これは事故だ。
「──お兄様、それが新しい魔法ですか?
女の子には有効ですね」
俺はレイの方に視線を転じる。
ものすごく、ジト目をしていた。
怖い。
「いや──これは違う!!!! なっ? セナ!!」
セナは考えに耽っていた。
ブツブツと言っていた。
「なるほど、ああいう敵の制圧の仕方もあるのか、
僕もまだまだ、かもしれない」
ブツブツブツブツ。
ブツブツとセナは言う。
まるで和尚さんが念仏を唱えるように。
一人事をずっと言うセナ。
セナが壊れた。
「あれは事故だ!!!!!」
「へぇ〜お兄様。へぇ〜」
レイは相変わらず、怖い顔で見つめている。
レッレイも壊れた。
どうする。
どうすればいい。
俺は考えた。
話を変えないと。
そうだ、意識を変えないと。
「俺は新しい魔法を考えていたんだ!!」
「へぇ〜お兄様。へぇ〜」
「ブツブツブツブツ」
目が据わってるよ二人共。
超怖い目をしてるし。
俺はレイとセナに目を合わせないようにそのまま言う。
「さっきのセナの後ろに移動した魔法は、
雷道と言う。
目で見える範囲に飛べるのさ。
飛ぶ距離が遠い程、魔力は食うけどな〜
なぁすごいだろ!!」
「へぇ〜お兄様。へぇ〜」
「ブツブツブツブツブツブツブツブツ」
二人とも賢いから見て大体理解してるのか。
じゃぁ……じゃあ。
これはどうだ。
俺は二メートル位の岩石の前に行く。
左手に紫電を纏わせながら、シャドーボクシングをした。
「セナ! レイ!! 見てろよ!!
〝雷拳〟」
俺の攻撃で、岩石は見事に砕けた。
魔導師のローブを着ながら、岩石を砕いている姿を見て。
レイとセナは元通りの雰囲気になった。
「お兄様、格闘家になられるのですか?」
「えっ! おかしいか?」
よかった、戻った二人共。
レイはじ──っと見ている。
俺だって異世界に来て、魔剣士とかになりたかった。
武器で魔物を薙ぎ払ったり。
かっこいい剣を装備して街を闊歩して見たかった。
だが、今の俺には難しい。
俺の憧れはセナに置いて行く。
セナには本当に憧憬するな。
俺はセナより強い、魔拳士になる。
いつか俺も剣士に慣れたらいいな。
なんてな。
ブツブツ言っていた。
セナもまともに戻る。
「僕、初めて見るのだよ。格闘家」
「そうなのか?」
「うん!」
「だけど、俺が勝っただろ? セナの双剣に──」
セナは頬を膨らませながら可愛く言う。
セナが居るから俺は強くなれる。
最強の師匠が。
「──負けたのだよ!」
「まあ、でもいい修行だったなぁ!
そろそろビニ町に帰るか!!」
その俺の言葉にニヒルに悪い顔をしながらセナは言う。
「ふふふっ何言ってるのだよ。これは準備運動だよ!
今からムーンマウンテンに入って、リスブン街に向かうのだよ」
「──────ぇぇええええぇぇええええ」
俺は知っていた。
普通の街道を通るより、
ムーンマウンテンを抜ける道がめんどくさいことを。
「まじかよ」
「行くのだよ〜」
「お兄様〜行きましょう」
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